前立腺癌手術後の患者の転移を予測し、治療決定を支援する遺伝子検査Decipher(米GenomeDx社製)は、血清PSA値やステージ分類、または病理学的悪性度(グレード分類)などの従来の評価ツールに比べ、より正確に予測が可能であるとの臨床データが示された。2月14日から16日まで米国オーランドで開催された2013 Genitourinary Cancers Symposium(ASCO GU)で報告された。

 Dicipherは、致死的で進行の早い前立腺癌に発現する複数の生物学的マーカーを測定する遺伝子検査で、前立腺癌患者における術後の再発・転移を予測する。

 Ghadessi氏らによる前向きの有効性評価試験では、根治的前立腺切除術後の患者219人を対象にDecipherでスコア分類を行った。主要評価項目は、転移による病勢進行を予測するためのc-indexで、盲検法を用いた解析により評価した。

 その結果、Decipherのc-indexは0.79であり、従来型の予測因子に比べて有意に優れていた(95%信頼区間:0.71-0.86)。従来の評価方法で高リスクと分類された患者の72%は、Decipherによる検査では低リスクと判定された。それらの患者のうち術後5年時点で転移が認められたのは3%未満だった。

 一方、Decipherで高リスクと分類された患者では、10倍近い転移が認められた。多変量解析では、Decipherは唯一、独立した転移予測ツールであることが有意差をもって示された(p=0.001)。

 Badani氏らによる別の発表では、Decipherの結果が前立腺癌手術後の治療の決定にどのような影響を及ぼすかを、泌尿器科医に協力を依頼して調査した。

 この研究では、従来型の評価方法により術後の転移リスクが高いとされた240例において、Decipher遺伝子検査の前後で治療方針が変わっていたかどうかを医師がレビューした。その結果、全症例の43%で治療方針の変更が行われていた(95%信頼区間:37-49)。特に、術後放射線療法が見送られ、経過観察となった症例が31%を占めた。

 PSA値やグレード分類などの従来型の予後予測法では、多くの患者が高リスクに分類される傾向がある。より正確に高リスク患者を特定できれば、治療によって起こりうる副作用、なかでも勃起不全や失禁など、その後の生活に永続的に支障をきたす副作用のリスクを回避することができる。

 また、医師にとっても、Decipher遺伝子検査を実施することで、より確実な治療方針を患者に提示することが可能となる。従来の評価ツールと併用すれば、術後の再発・転移の高リスク前立腺癌患者を層別化できるとも期待される。