米Emory大学のDong Moon Shin氏らは、2013年2月9日、フェーズ1試験で、EGFR阻害薬Cox-2阻害薬の併用がハイリスク患者の頭頸部腫瘍発症に対する化学予防として有効であることを示唆する結果を得たと発表した。前臨床研究と臨床試験のデータは、Clinical Cancer Research誌に報告された。

 頭頸部扁平上皮癌患者の予後はいまだに不良だ。ハイリスクの患者、すなわち口腔上皮に進行した前癌病変を有する患者が同定できるようになって以来、有効な予防戦略が強く求められてきた。

 著者らは、先の研究で上皮成長因子受容体(EGFR)とCox-2が頭頸部扁平上皮癌の進行にかかわることが示唆されていたことから、これらをそれぞれ阻害する薬剤を併用すれば癌を抑制できると考えた。そこで、EGFR阻害薬のエルロチニブとCox-2阻害薬セレコキシブを選んで、ヒトの頭頸部扁平上皮癌細胞株を対象にin vitro曝露実験を行った。得られたデータは、それぞれを単剤で用いた場合に比べ併用時には、増殖阻害作用が増強されることを示した。

 次に、ヒト頭頸部扁平上皮癌細胞をマウスに移植する実験を行った。移植前の個体にこれら2剤を投与しておくと、それぞれを単剤投与した場合より強い増殖抑制が見られた。

 これらの結果に基づいて、研究者たちはフェーズ1化学予防試験を実施した。口腔上皮に進行した前癌病変を持つ11人の患者を登録し、エルロチニブとセレコキシブを投与。登録時と、治療開始から3カ月後、6カ月後、12カ月後に生検を行った。ベースラインに加えて追跡期間中にも標本が得られた7人の患者について病理学的評価を行った結果、7人中3人に前癌病変の消失が見られた。2人の患者には部分的な反応が認められた。残りの2人は進行と判断された。通常、進行した前癌病変が消失することはまれであるため、2剤併用は化学予防策として有望と考えられた。

 一部の患者は重症有害事象により脱落した。予防を目的とする場合、長期投与が必要になる可能性が高いため、著者らは、大規模臨床試験を計画する前に2剤併用の安全性と忍容性について分析する必要があると考えている。同時に、より毒性が低く、同様の効果を持つ薬剤の探索も進める計画だという。