中外製薬は1月29日、HER2陽性の転移・再発乳癌への治療薬として開発中の抗体-薬物複合体T-DM1(トラスツズマブエムタンシン[遺伝子組換え])について、厚生労働省に製造販売承認申請を行ったと発表した。

 T-DM1は、抗HER2モノクローナル抗体のトラスツズマブ(製品名:ハーセプチン)と微小管重合を阻害する化学療法剤エムタンシンを結合させた抗体-薬剤複合体。

 今回の申請は、海外フェーズ3試験「EMILIA」と、国内で実施されたフェーズ2試験の成績に基づいて行われた。

 EMILIA試験は、初期治療としてトラスツズマブおよびタキサン系薬剤を含む化学療法を実施後に病勢進行したHER2陽性の切除不能局所進行または転移性乳癌患者を対象にして実施された試験。T-DM1を単独投与した群は、ラパチニブ+カペシタビン併用群と比べ、主要評価項目の全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)ともに有意に延長したことが示された。T-DM1単独投与群のOS中央値は30.9カ月で、ラパチニブ+カペシタビン併用群の25.1カ月と比べ、有意に延長した(ハザード比0.68、p=0.0006)。PFS中央値はそれぞれ9.6カ月、6.4カ月だった(ハザード比0.65、p<0.0001)。また、T-DM1単独投与群におけるグレード3以上の有害事象の発現率は、ラパチニブ+カペシタビン併用群よりも低かったことが報告されている。ラパチニブ+カペシタビン併用群よりも発現率の高かったグレード3以上の有害事象は血小板数減少、AST上昇、ALT上昇など。なお、この試験には日本は参加していなかった。

 日本人患者を対象に実施した国内フェーズ2試験は1アームで実施された。T-DM1を投与した73人において、主要評価項目の奏効率(独立審査委員会による評価)は38.4%、副次評価項目の奏効率(治験医師の評価)は28.8%、PFS中央値は5.6カ月だった。また、グレード3以上の有害事象発現は41人で確認されたが、十分に忍容性があると判断された。