経口マルチキナーゼ阻害剤regorafenibは、標準的治療後に進行した転移性大腸癌に対し、KRAS変異型やPIK3CA変異型の患者でも、プラセボに比べ有意に生存を改善することが、多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照フェーズ3試験CORRECTにおけるバイオマーカーの探索研究で確認された。1月24日から26日に米サンフランシスコで開催された2013 GASTROINTESTINAL CANCERS SYMPOSIUM(ASCO GI)で、米国Bayer HealthCare Pharmaceuticals社のMichael Jeffers氏らが発表した。

 regorafenibは、VEGFR1-3やTIE-2、またPDGFR-βやFGFR、KIT やRET、RAF-1、BAFの受容体チロシンキナーゼの活性を阻害する薬剤。

 CORRECT試験は、標準的治療後に進行した転移性大腸癌患者760人を対象として、regorafenib+支持療法(BSC)群とプラセボ+BSC群に2:1の割合で患者を割り付けて比較検討した。結果、regorafenibはプラセボに比べ、全生存期間(OS)は有意に延長し(ハザード比 0.77、 p=0.0052)、無増悪生存期間(PFS)も改善したことが報告されている(ハザード比 0.49、 p<0.0001)。

 今回のバイオマーカーの探索研究は、遺伝子変異の状態とregorafenibの臨床効果との相関を検討するために行われた。患者のDNAは治療開始時の血液検体からの分離が503人(66%)、患者の腫瘍組織からの分離が239人(31%)であった。KRASとPIK3CA、BRAFの遺伝子変異を、高感度のDNA測定方法(BEAMing: Beads, Emulsion, Amplification, Magnetics)によって検出した。

 その結果、KRAS変異は血液検体では69%、腫瘍組織では59%で検出された。血液検体と腫瘍組織におけるKRAS変異の一致率は76%だった。PIK3CA変異は血液検体では17%、腫瘍組織では12%で検出され、血液検体と腫瘍組織におけるPIK3CA変異の一致率は88%であった。またPIK3CA変異型患者の75%までがKRAS変異を有していた。BRAF変異は血液検体で3.4%、腫瘍組織では1.5%で、血液検体と腫瘍組織におけるBRAF変異の一致率は97%だった。

 臨床効果について、遺伝子変異によるサブグループ解析を行ったところ、OSもPFSも、KRAS野生型と変異型、PIK3CA野生型と変異型、さらにKRAS変異型+PIK3CA変異型、KRAS変異型+PIK3CA野生型、KRAS野生型+PIK3CA野生型のどのサブグループでも、regorafenibはプラセボに対し、臨床的に有益である傾向を示した。

 具体的には、OSに関し、血液検体の場合、KRAS野生型154人におけるハザード比が0.67 (95%信頼区間:0.41-1.08)、KRAS変異型349人では0.81(同:0.61-1.09)であり、交互作用p値は0.561。PFSに関しては、KRAS野生型でのハザード比が0.52 (同:0.35-0.76)、 KRAS変異型では0.51 (同:0.40-0.65)、p値は0.744だった。

 次に腫瘍組織の場合、KRAS野生型99人におけるハザード比が0.84 (95%信頼区間:0.49-1.46)、KRAS変異型140人では0.87 (同:0.56-1.37)であり、交互作用p値は0.933。PFSに関しては、KRAS野生型でハザード比が0.54 (同:0.34-0.85)、KRAS変異型では0.47 (同:0.32-0.68)、p値は0.458となった。

 PIK3CAでも同様の傾向であった。交互作用p値の結果から、regorafenibのプラセボに対する優れた臨床効果はKRASもしくはPIK3CAの変異状態による違いはなく、「KRAS変異もPIK3CA変異もregorafenibが有効な患者を選択するためのバイオマーカーとしては有用ではない」ことが示された。