予後不良を示す特徴を有する「ハイリスク」のII期の大腸癌患者では、術後補助化学療法はOSの改善に関与し、特にT4の患者で無再発生存期間(RFS)、疾患特異的生存期間(DSS)、全生存期間(OS)の改善が認められることが、単施設の探索的データ解析から示された。1月24日から26日まで米サンフランシスコで開催された2013 Gastrointestinal Cancer Symposium 2013(ASCO GI)で、カナダBritish Columbia Cancer AgencyのAalok Kumar氏が発表した。

 術後補助化学療法は「ハイリスク」のII期の大腸癌患者に考慮される。ASCOのガイドラインに基づき、ハイリスクのII期の大腸癌は、T4、低分化癌、閉塞や穿孔、郭清したリンパ節が12個を超える、手術治療後に癌の遺残がある、リンパ管または静脈侵襲、神経周囲侵襲、術前のCEAが高値――といった予後不良を示す特徴が1つ以上ある場合と定義される。このような患者に対する治療の生存への有用性はまだ証明されていない。

 Kumar氏らは、British Columbia Cancer Agency Gastro-Intestinal Cancer Outcome Unitのデータを前向きに収集し、探索的データ解析を行った。目的は、ハイリスクのII期の大腸癌患者に術後化学療法が行われている頻度を知り、ハイリスクとローリスクで行われた術後補助化学療法からRFS・DSS・OSの特徴を明らかにし、術後補助化学療法のハイリスク患者の転帰に対する効果を評価することだった。

 1999年から2008年までに同施設でII期の大腸癌と診断された18歳以上の患者で、地域のcancer center5施設で行われた評価を再検討した。同時性多発大腸癌、腺癌以外、術前補助療法を受けている患者は除外した。

 患者を2つのコホートに分け、前述の予後不良の特徴を1つ以上認めた場合をハイリスク、いずれも認めない場合をローリスクとした。
 
 1697人が対象となり、このうちハイリスクは1236人(73%)、ローリスク群461人(27%)となった。
 
 ハイリスクで術後補助化学療法を受けた患者は363人(AC群、29%)、受けなかった患者は873人(No AC群、71%)だった。AC群ではNo AC群と比べて、有意に70歳以上の患者が少なく、PS3以上の患者も少なかった。腫瘍の特徴で有意差があったのは、穿孔(AC群16%、No AC群5%)とT4(AC群47%、No AC群20%)だった(いずれもp<0.001)。

 転帰について単変量解析を行うと、ハイリスクの患者では、5年OSはAC群75%で、No AC群の68%と比べて有意な改善が示された(p<0.001)。3年RFS、5年DSSについては有意差はみられなかった。またローリスクの患者ではいずれについても有意差はなかった。
 
 多変量解析でも、ハイリスクの患者では、AC群のNo AC群に対するOSのハザード比が0.67(95%信頼区間:0.52-0.86)となった(p=0.002)。一方、ローリスクの患者では、AC群のNo AC群に対するOSのハザード比は2.27(95%信頼区間:1.03-4.97)となった。
 
 ハイリスクのT4では、AC群とNo AC群でRFS(ハザード比0.63[95%信頼区間:0.42-0.95]、p=0.03)、DSS(ハザード比0.59[95%信頼区間:0.37-0.93]、p=0.03)、OS(ハザード比0.50[95%信頼区間:0.33-0.77]、p=0.002)のいずれにおいても有意差がみられた。
 
 またハイリスクの特徴が3個以上と2個の場合に、AC群とNo AC群のOSに有意差がみられた。ハザード比はそれぞれ0.44(95%信頼区間:0.28-0.70)と044(95%信頼区間:0.27-0.72)だった(それぞれp<0.001、p=0.001)。
 
 Kumar氏は「治療による有用性が得られる患者を明確にするため、さらに良好な予後予測因子が必要」と話した。