局所進行直腸癌に対するS-1イリノテカンを用いた術前化学放射線療法の用量設定を行った多施設共同フェーズ1試験SAMRAI-1の結果、高いdown-stage率とpCR率が得られたことが示された。1月24日から26日までサンフランシスコで開催された2013 GASTROINTESTINAL CANCERS SYMPOSIUM(ASCO GI)において、SAMRAI-1試験グループを代表して兵庫医科大学下部消化管外科の野田雅史氏が発表した。

 現在、局所進行下部直腸癌に対して5-FUを用いた術前化学放射線療法が行われている。この化学放射線療法は局所制御率の向上に有効と考えられているが、現在のところ、生存期間の延長に寄与するかどうは明確なエビデンスがない。一方、これまでの基礎的な検討から、S-1に含まれるギメラシルが放射線療法の効果を高める作用があることが示されている。

 そこで同グループは、切除可能な局所進行直腸癌を対象に、S-1+イリノテカンを用いた術前化学放射線療法の有効性を検討するため、まずフェーズ1臨床試験であるSAMRAI-1試験を行った。

 この試験の主要評価項目はS-1+イリノテカンの最大耐用量(MTD)と推奨用量(RD)の決定。副次評価項目は安全性、R0切除率、down-stage率、病理学的完全奏効率(pCR率)とした。

 適格基準は、未治療直腸癌(腺癌)で、臨床病期T3、T4、リンパ節転移についてはN0〜2で切除可能と診断された症例。下部切除マージンは腹膜反転部位とし、直腸間膜外に10mm異常のリンパ節転移がないものとした。

 化学放射線療法は35日を1コースとし、1.8Gy/日を5日間照射、2日間休むことを5週繰り返し、総照射量は45Gyとした。S-1は標準用量として体表面積別に80mg、100mg、120mg/日を、5日間連続投与2日間休薬とするサイクルで、1〜5日目、8〜12日目、22〜26日目、29〜33日目に投与。イリノテカンは1日目、8日目、22日目、29日目に投与した。

 用量設定は、S-1は標準用量、放射線照射は45Gyと固定し、レベル0としてイリノテカン40mg/m2、レベル1は60mg/m2、レベル2は80mg/m2、レベル3は90mg/m2、レベル4は100mg/m2と設定した。

 レベル1を開始用量とし、最大耐用量は半数の症例で用量制限毒性が認められるレベルとした。推奨用量は最大耐用量の1つ下のレベルとした。

 2009年2月から2011年12月までに7施設から20例が登録され、このうち18例が解析対象となった。

 対象となった18例の患者背景は、年齢中央値58歳、男性15例、病巣部位はRabが5例、Rbaが4例、Rbが9例、RbPは0例だった。病期はステージIIaが7例、ステージIIIBが10例、ステージIIICが1例だった。

 全18例におけるグレード3以上の有害事象として白血球減少が3例、好中球減少が3例、血小板減少が1例、食欲不振が1例、下痢が2例に認められた。重篤な有害事象はレベル1では認められず、レベル2の2例にそれぞれグレード3の血小板減少と好中球減少、レベル3の1例にグレード3の下痢が認められた。

 レベル1に6例(うち用量制限毒性が2例に認められた)、レベル2に3例(用量制限毒性は認められず)、レベル3に6例(うち用量制限毒性が3例に認められた)が登録され、最終的にレベル2に5例が登録され、3例が評価対象となり、3例に用量制限毒性が確認された。

 有効性について、18例中10例(55.6%)にdown-stageが認められた。レベル1では6例中4例に、レベル2でも6例中4例に、レベル3では6例中2例にdown-stageが得られた。R0切除率は全例で行われ、pCR率はレベル1が16.7%、レベル2が33.3%、レベル3で33.3%だった。全18例でのpCRは27.8%だった。これまで国内外で報告されているpC率は10%前後が多く、今回の成績は良好と考えられるものだった。

 これらの結果から同グループは、推奨用量としてイリノテカン60mg/m2、S-1は標準投与量、放射線照射量は45Gyとした。この結果を受け、現在、フェーズ2試験を計画している。