切除不能進行膵癌に対するS-1の隔日投与は、治療効果を損なうことなく有害事象を軽減する可能性が、フェーズ2試験から示された。1月24日から米サンフランシスコで開催された2013 Gastrointestinal Cancer Symposium(ASCO GI)で、関西医科大学外科学講座の里井壯平氏が発表した。

 GEST試験では、切除不能進行膵癌で化学療法未治療の患者において、S-1のゲムシタビンに対する非劣性が確認された。ただし、消化器毒性の発現は避けられず、推奨されるS-1の4週投与、2週休薬のレジメンでは、グレード3または4の食欲不振が11.4%、下痢が5.5%に発現した。

 標準的な投与の継続が懸念されるケースでは、S-1を隔日投与とすることで有害事象が減少し、忍容可能となることが報告され、臨床でも経験されている。そのため里井氏らは、切除不能進行膵癌患者を対象とする多施設共同の前向き試験を行い、S-1の隔日投与の有効性と安全性を検討した。

 S-1は、体表面積により40mgから60mgを1日2回、月・水・金・日曜日に投与し、各治療サイクルは6週間とした。主要評価項目は全生存期間(OS)、副次的評価項目は無増悪生存期間(PFS)、奏効率、治療成功期間(TTF)、安全性だった。

 2009年9月から2011年2月までに、局所進行または転移を有する膵癌患者50人が登録され、このうち48人(男性21人、年齢中央値67歳)で有効性と安全性の解析が可能だった。48人中、PS 0は40人、1は8人だった。

 治療の継続期間をみると、3カ月継続したのは患者の56.3%、6カ月は37.5%、12カ月は12.5%、24カ月は0%だった。

 追跡期間中央値は28.2カ月だった。主要評価項目の生存期間中央値(MST)は8.4カ月(95%信頼区間:5.4-10.8)、1年生存率は29.2%となった。

 PFS中央値は5.5カ月、TTF中央値は3.9カ月だった。奏効率は10.4%、病勢コントロール率(DCR)は79.2%となった。これに対し前述のGEST試験では、S-1群のMSTは9.7カ月、PFS中央値は3.8カ月という結果だった。

 S-1の隔日投与の忍容性も示された。有害事象の多くはグレード1または2で、グレード3または4の有害事象の発現率は低かった。血液毒性ではグレード3の好中球減少が2人(4.2%)に、非血液毒性ではグレード3の食欲不振/疲労感が1人(2.0%)、胆嚢炎が1人(2.0%)に発現したのみだった。

 S-1の減量は必要とされなかった。治療の中止理由でも、有害事象は8.3%のみで、約80%が疾患の進行による中止だった。

 里井氏によると、切除不能進行膵癌患者を対象として、S-1の隔日投与を標準的な投与と比較するフェーズ2のランダム化試験が進行中である。この試験では患者を各群に2対1で割り付け、主要評価項目をOSとして比較される予定だ。