肝機能が良好な進行肝細胞癌のファーストライン治療として、linifanibのソラフェニブに対する優越性は示されなかったことが明らかとなった。国際共同フェーズ3試験の結果から示されたもので、1月24日からサンフランシスコで開催された2013 GASTROINTESTINAL CANCERS SYMPOSIUM(ASCO GI)で、ルーマニアInstitute of Oncology ClujのCalin Cainap氏が発表した。

 linifanibは、血管内皮増殖因子(VEGF)や血小板増殖因子(PDGF)の受容体チロシンキナーゼ阻害薬。

 この国際共同フェーズ3試験は、Child-Pugh Aの進行肝細胞癌を対象に、linifanib 1日1回単独投与とソラフェニブ(1日2回投与)を比較した試験。主要評価項目は全生存期間(OS)で、副次評価項目は進行までの期間(TTP)と客観的奏効率とした。

 対象は、18歳以上の切除不能・転移性の肝細胞癌で、前治療として全身療法や4週間以内に局所治療を受けていない患者。対象者を、linifanib群(17.5mg/日)とソラフェニブ群(800mg/日)に割り付け、比較検討した。

 1035例がランダム化され、linifanib群に521例、ソラフェニブ群に514例が割り付けられた。

 患者背景は、両群間で差はなく、いずれも年齢約60歳、男性比率は約85%、非アジア人が3割強、日本人が8%程度、その他のアジア人が6割弱だった。飲酒者および禁酒者は6割弱で、背景肝はB型肝炎が半数を占め、次いでC型肝炎が25%程度、アルコール性が10%程度だった。Child-Pugh Aが95%を占め、BCLCステージはCが80%以上だった。脈管浸潤ありが40%強、肝外転移ありが56〜60%程度、前治療として局所治療を受けていたのは45%、外科切除を受けていたのは30%だった。

 試験薬の服用期間は、ソラフェニブ群、linifanib群ともに平均127日、中央値は84〜87日、1日平均投与量は、ソラフェニブ群667.1mg(中央値は765.9mg)、linifanib群13.7mg(中央値は13.8mg)、相対用量強度はソラフェニブ群が平均83.4%(中央値は95.7%)、linifanib群は平均78.2%(中央値は78.8%)だった。

 生存期間中央値は、ソラフェニブ群9.8カ月に対し、linifanib群9.1カ月、ハザード比1.046(95%信頼区間:0.896-1.221)で、2群間で差は見られず、設定されていたlinifanibのソラフェニブに対するOSの優越性は証明されなかった。

 事前に設定された、人種、登録時ECOG PS、脈管浸潤や肝外転移の有無別、B型肝炎ウイルス感染の有無など層別に検討した結果でも、ソラフェニブとlinifanibの間で差は認められなかった。

 副次評価項目であるTTPを検討した結果、ソラフェニブ群が4.0カ月だったのに対し、linifanib群5.4カ月で、ハザード比0.759(95%信頼区間:0.643-0.895)とlinifanib群で良好だった。客観的奏効率は、ソラフェニブ群6.9%に対し、linifanib群13.0カ月だった。

 安全性については、重篤な有害事象が認められたのがソラフェニブ群38.5%に対し、linifanib群52.4%、試験薬の中止や減量につながる有害事象もソラフェニブ群に対してlinifanib群で多かった。

 予備的な検討として、登録時から6週時でのAFP値の変化について検討した結果、ソラフェニブ群では平均−8.0、中央値1.7だったのに対し、linifanib群平均−42.9、中央値−35.0だった。多変量解析を行った結果、OSと6週時でのAFP値の変化に相関関係が見いだされた。

 これらの結果から、linifanib群とソラフェニブ群の間でOSに差はなく、linifanib群の優越性は示されなかったこと、TTPや奏効率はlinifanibで良好な傾向があったが、安全性についてはソラフェニブで良好だったとまとめた。