局所限局食道癌では、患者を選別せずにセツキシマブを標準的な根治的化学放射線療法(dCRT)に追加することは推奨されないことが、フェーズ2/3試験(SCOPE 1試験)から示された。1月24日から26日まで米サンフランシスコで開催されている2013 Gastrointestinal Cancer Symposium 2013(ASCO GI)で、英国Velindre HospitalのThomas Crosby氏が発表した。

 英国で行われたSCOPE1試験は、局所限局食道癌に対するdCRTを検討した最大規模の多施設共同試験で、標準治療のシスプラチンとフルオロピリミジン系抗癌剤にセツキシマブを追加する治療を検討した。

 同試験は2段階で構成され、段階1(フェーズ2)の主要評価項目は、セツキシマブを投与した群(セツキシマブ群)の6カ月時のtreatment failure-free(TFF)率だった。TFFは、患者が生存しており、生検で残存腫瘍のエビデンスがなく、かつ照射野外で進行を認めない状態と定義された。段階2(フェーズ3)の主要評価項目は全生存期間(OS)だった。フェーズ2で活性の徴候が認められない場合は患者の登録を中止し、そうでない場合はフェーズ3に向けて登録を進めることとした。

 対象は、局所限局食道癌でdCRTが選択された患者で、次の2群のいずれかに1対1でランダム化された。対照群:3週を1サイクルとして、シスプラチン60mg/m2を1日目、カペシタビン625mg/m2を1日目から21日目まで毎日投与し、4サイクル行い、3・4サイクル目に放射線療法(50Gyを25分割)を同時に行う。セツキシマブ群:対照群で行う治療に追加してセツキシマブ400mg/m2を1日目に投与し、その後は250mg/m2を週1回投与する。24週時に、内視鏡、生検、CTによる評価を行った。

 2008年2月から2012年1月までに英国の49施設から258人が登録され、セツキシマブ群129人(男性55%、年齢中央値67歳)、対照群129人(同57%、67歳)となった。扁平上皮癌と腺癌は、セツキシマブ群でそれぞれ71%と26%、対照群で74%と25%、腫瘍の主な占拠部位は、セツキシマブ群で上部12%、中部43%、下部42%、対照群でそれぞれ9%、45%、45%だった。病期は、セツキシマブ群でI期3%、II期37%、III期60%、対照群でそれぞれ3%、37%、60%だった。手術適応にならなかった理由は局所病変の大きさが両群ともに最も多く、セツキシマブ群では47%、対照群では48%だった。

 結果として、この試験ではフェーズ2で主要評価項目を達成できず、フェーズ2の解析後、独立データモニタリング委員会(IDMC)の勧告により患者登録は中止された。ただし、すでに登録された患者の治療と追跡は継続され、全例が6カ月の追跡を終えた時点でデータの解析が再度行われ、その結果が今回発表された。

 セツキシマブ群と対照群において、24週時のTFF率はそれぞれ66%と77%、OS中央値は22.1カ月と25.4カ月(ハザード比1.53、p=0.035)、2年生存率は41.3%と56.0%、PFSは15.9カ月と19.4カ月で、いずれもセツキシマブ群で不良だった。一方、対照群では、過去の放射線療法や手術の報告と比べて生存期間が良好だった。
 
 治療に対するコンプライアンスは対照群で有意に高かった。放射線療法を完遂したのは、セツキシマブ群75.2%、対照群86.0%だった(p=0.027)。化学療法も同様で、セツキシマブ群と対照群において、予定された用量のシスプラチンを投与できたのはそれぞれ76.7%と89.9%(p=0.005)、カペシタビンでは69.0%と85.3%(p=0.002)だった。

 グレード3-5の有害事象の発現率は、セツキシマブ群81.4%、対照群72.9%だった(p=0.074)。発現に有意差がみられたのは、皮膚障害(それぞれ21.7%と3.9%、p<0.001)と、代謝障害/生化学検査値の異常(同24.0%と10.9%、p=0.005)においてだった。

 Crosby氏は、「食道癌に対するdCRTの転帰を改善するには、治療を選択するためのエビデンスに基づいたバイオマーカーを開発し、高線量の放射線療法などの強い治療を安全に行える新しい技術と全身的な標的治療を組み込むことに焦点を当てる必要がある」と述べた。