切除不能な進行・再発胃癌に対する標準療法の1つであるカペシタビン+シスプラチン療法へのHDAC阻害薬ボリノスタット併用は有効である可能性が、フェーズ1試験の結果から示された。予備的な解析ではあるが、奏効率は50%で、相対用量強度も高く維持されていた。1月24日からサンフランシスコで開催されている2013 GASTROINTESTINAL CANCERS SYMPOSIUM(ASCO GI)で、韓国University of Ulsan Asan Medical CenterのChanghoon Yoo氏が発表した。

 過去の報告では、胃癌患者において、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)の発現量やゲノム全体のヒストン修飾が予後と相関するとされている。

 そこで、同グループは、進行胃癌に対するファーストライン治療の1つであるカペシタビン+シスプラチン併用療法(XP療法)に、HDAC阻害薬であるボリノスタットを併用するV-XP療法について、推奨用量を決定するためのフェーズ1試験を行った。

 カペシタビンは1〜14日目に1日2回、シスプラチンは1日目に静注、ボリノスタットは1〜14日目に1日1回投与とし、3週間を1サイクルとした。用量については、レベル1としてカペシタビン1600mg/m2/日、シスプラチン60mg/m2、ボリノスタット300mg/日、レベル2Aとして、カペシタビン1600mg/m2/日、シスプラチン60mg/m2、ボリノスタット400mg/日、レベル2Bとしてカペシタビン2000mg/m2/日、シスプラチン60mg/m2、ボリノスタット300mg/日、レベル3としてカペシタビン2000mg/m2/日、シスプラチン60mg/m2、ボリノスタット400mg/日、レベル4としてカペシタビン2000mg/m2/日、シスプラチン80mg/m2、ボリノスタット400mg/日と設定した。

 用量の増加は6人中2人に用量制限毒性が見られるまで続けられ、その時点でのレベルを最大耐用量とし、最大耐用量の1つ下のレベルを推奨用量とした。そして推奨用量については、別の6人を対象として毒性と安全性について検討した。

 対象者30例の背景は、年齢中央値50歳、男性50%、ECOG PSが0または1が93%、転移例が83%、再発例が17%、転移臓器数が1個だったのが37%、2個だったのが37%、3個以上が16%、転移臓器が肝臓だったのが33%、肺が10%、腹部リンパ節が70%、腹膜播種が63%だった。

 レベル1に6例、レベル2Aに3例、レベル2Bに6例、レベル3に6例、レベル4に3例とした。レベル1の用量制限毒性(DLT)として1例にグレード4の血小板減少が見られ、レベル2Bではグレード3の疲労、レベル3ではグレード3の口内炎、レベル4ではグレード4の血小板減少が1例に、またグレード3の食欲不振と疲労によりカペシタビンの中止とボリノスタットの減量が必要だった1例が見いだされた。

 これらの結果から、最大耐用量はレベル4で、推奨用量はレベル3となった。この推奨用量を確認するため、6例が追加され評価した結果、追加された症例において用量制限毒性は認められなかった。

 対象者30例における有害事象のうち、グレード3/4については、好中球減少が47%、貧血が10%、血小板減少が17%、疲労が13%、食欲不振が20%、悪心が7%、嘔吐が7%、口内炎が7%、下痢が3%で、神経障害、手足症候群、爪の障害については認められなかった。

 評価可能な病変を有する18例を対象に奏効率を検討した結果、部分奏効が9例(50%)で奏効率50%、病勢安定が5例(28%)だった。レベル3に割り付けられた6例での奏効率は、部分奏効が2例(33%)で奏効率33%、病勢安定が3例(50%)だった。

 相対用量強度は2サイクル以降安定し、6サイクルまでにシスプラチンとボリノスタットは70〜80%、カペシタビンは60%強と高く維持されていた。フォローアップ期間14.1カ月(中央値)における無増悪生存期間(中央値)は7.1カ月、全生存期間(中央値)は18.0カ月だった。

 これらの結果から、V-XPレジメンの用量制限毒性は血小板減少、疲労、食欲不振、口内炎で、カペシタビン2000mg/m2/日(1〜14日目)、シスプラチン60mg/m2(1日目)、ボリノスタット400mg/日(1〜14日目)の3週間レジメンが今後のさらなる検討の際の推奨用量であると締めくくった。