多施設共同観察研究であるJFMC44-1101の結果、日本人の切除不能な進行・再発胃癌患者におけるHER2陽性率は21.1%であることが示された。1月24日からサンフランシスコで開催されている2013 GASTROINTESTINAL CANCERS SYMPOSIUM(ASCO GI)で、JFMC44-1101を代表して大阪府立急性期・総合医療センター外科の西川和宏氏が発表した。

 HER2陽性進行胃癌に対するトラスツズマブの有効性を示したToGA試験において、HER2陽性率は国によって異なることが示されていた。そこで同グループは日本人の進行胃癌患者におけるHER2陽性率とともにHER2陽性に関わる因子の同定を行うため、JFMC44-1101研究を行った。

 同研究には2011年9月から2012年6月までに国内157施設を受診した1495例が登録され、不適格例やFISHが行われなかった症例などを除外した1435例が解析対象となった。

 適格基準は、年齢20歳以上の切除不能・再発胃癌で、腺癌、組織と臨床情報が外部に提供可能、6つの切片が評価可能な症例とした。研究の評価項目はHER2陽性率、HER2陽性と患者背景や試料の状態との関係、全生存期間など。

 HER2の評価はホルマリン固定パラフィン切片を対象に免疫染色とFISHについて中央判定した。

 解析の結果、患者全体でのHER2陽性は1435例中303例で、陽性率は21.1%(95%信頼区間:19.9-23.2)だった。免疫染色(IHC)3+または2+でFISH陽性例は15.5%だった。

 詳細には、IHC 0(599例)でFISH陽性は19例(3.2%)、1+(545例)でFISH陽性は61例(11.2%)、2+(129例)でFISH陽性は61例(47.3%)、3+(162例)でFISH陽性は158例(97.5%)だった。IHC 3+(162例)でFISH陰性は4例(2.5%)だった。

 切除不能か再発か、再発までの期間、年齢、性、部位、組織型、肝転移や遠隔転移、リンパ節転移の有無、腫瘍深達度別などの患者背景別にHER2陽性率を検討した結果、いずれも10〜20数%程度だった。

 そのうち、HER2陽性率が30%以上と特に高かったのは、肉眼的分類type1、乳頭腺癌(pap)、高分化型管状腺癌(tub1)、中分化型管状腺癌(tub2)、分化型(intestinal type)、H1(肝転移)、腫瘍深達度T1だった。

 一方、HER2陽性率が10%以下と低かったのは、非充実型低分化腺癌(por2)、印環細胞癌(sig)だった。

 HER2陽性と各因子について単変量解析を行った結果、HER2陽性と強く相関したのは、性(男性)、組織型(por、sig、mucに対してpap、tub)、Lauren分類(diffuse typeに対するintestinal type)、肝転移(あり)、腹膜転移(なし)、腫瘍深達度(T4に対してT0、1、2、3)、肉眼的分類(0、3、4に対して1、2)、部位(多部位に対する単部位)、手術検体に対するバイオプシーなどだった。このうちでも特に組織型、Lauren分類、肝転移の有無が強く相関していた。

 さらに多変量解析を行った結果、未分化型(diffuse type)に対する分化型(intestinal type)(オッズ比0.28)、腹膜転移なし(オッズ比0.56)、肝転移(オッズ比1.58)が独立した因子として見いだされた。

 これらの結果から、西川氏は、日本人の切除不能な進行・再発胃癌におけるHER2陽性率は21.1%で、アジア、欧州、ラテンアメリカなど24カ国から患者が登録されたToGA試験におけるスクリーニング患者での陽性率(22.1%)や分布と同等であるとした。また、分化型、腹膜転移なし、肝転移はHER2陽性の独立した予測因子であること、IHC 0/1+の患者ではFISH評価は必須であることを指摘した。