2011年から運用を開始した茨城県地域の放射線治療ネットワークの現状について、2012年11月23日から25日まで東京都内で開催された第25回日本放射線腫瘍学会学術大会で、筑波大学放射線腫瘍科の奥村敏之氏が発表した。テレビ会議システムによる症例カンファレンスが半年で200回以上行われており、特に診療面での支援に役立っている現状が報告された。

 茨城県は全国4位という広い可住地面積を持つ。放射線治療施設は多いが、放射線治療の人的資源に乏しいことが指摘されている。そのため、「顔を合わせて相談を行うためには、距離が大きな障壁になっていた」(奥村氏)。

 そこで、茨城県では県のがん対策重点推進事業(2010年〜2014年度)として、県内の主要な放射線治療施設を結ぶテレビ会議ネットワークの構築に取り組んだ。筑波大学附属病院を含むがん診療連携拠点病院、茨城県がん診療指定病院、県立医療大学を結ぶことで、(1)放射線治療に関する相談・支援(2)治療従事者向けの教育・研修(3)陽子線治療、小線源治療など高度治療の紹介――などが目的だ。

 ネットワーク回線は、既存のいばらきブロードバンドネットワークを利用し、茨城県庁が管理する多地点接続装置と各拠点を結び、通信できるようにした。運営は筑波大学に委託している。また、セキュリティーを維持するため、各病院の医療情報ネットワークには接続しないようにした。

 2011年4月から、全13施設でネットワークの運用を開始。2012年11月時点で、参加施設は17施設まで増加した。

 テレビ会議システムは、平日定時に開催する筑波大学のカンファレンス関係、週1回開催する研修会や勉強会、月1回開催する抄読会などに利用されている。2012年4〜9月までの半年の利用状況を見ると、放射線腫瘍科・症例カンファレンスが125回、陽子線センター・症例カンファレンスが100回、医学物理勉強会が17回、抄読会は6回、照射に関する相談は40回だった。

 また、2012年4月からは、教育的コンテンツの配信を開始した。筑波大学の配信用サーバーを利用し、ウェブ上でコンテンツを視聴できるようにした。内容は、県の研究会、研修会、大学内勉強会の招待講演、看護師向けの勉強会など。閲覧回数を分析した結果、放射線科外来の看護師対象の教育的コンテンツの閲覧回数が多いことが分かった。

 これまでを振り返り奥村氏は、「県内の教育機関と主要な放射線治療機関の計17拠点を結んだテレビ会議システムは、特に診療面での支援に役立っている。ウェブを利用した教育プログラムは、職種ごとに魅力あるコンテンツを用意することで利用頻度を高められると期待している。しかし、施設間の利用状況に差があるため、今後工夫が必要である」と語った。