神奈川県の北西部に位置する相模原協同病院において、放射線治療体制を整備したことで増加した患者の背景を調べたところ、患者の9割は市内や近隣地域に住み、通院時間は1時間以内だった。また、70歳以上の患者数は6年間で10倍以上増加した。同院放射線科の福原昇氏は、「地域には多くの放射線治療の適応患者が潜在しており、放射線治療体制が整備されたことで、特に高齢患者数が増加した。放射線治療は均てん化されるべきである」と指摘した。2012年11月23日から25日まで東京都内で開催された、第25回日本放射線腫瘍学会学術大会で発表した。

 同院の所在地である相模原市の西部は山間部である。同院は、2003年から放射線科医が常勤するようになり、放射線治療機器も更新した。その後、新規患者数は増加し、2002〜2003年の年間治療件数増加率は24.1%だったのに対し、2003〜2004年は122.4%となった。

 そこで福原氏は、放射線治療体制を整備した2003年以降に増加した患者の年齢、居住地、通院時間を調べ、放射線治療を均てん化する意義について検討した。

 対象は、同院で2002〜2011年に放射線治療を行った患者。患者の居住地データと年齢層はカルテ記載データから、通院時間は聞き取り調査を行った。患者居住地は、「市内」「隣接地域(相模原市と接する地域、推定通院時間は1時間以内)」「近隣地域(推定通院時間は1.5時間以内)」「周辺地域(推定通院時間は2時間以内)」「遠隔地」の5つに分類した。

 解析の結果、同院で放射線治療を受ける患者のおよそ95%は、推定通院時間が1.5時間以内の「近隣地域」に在住する患者だった。

 患者の4割は70歳以上で、70歳以上の患者のうち91%は市内または隣接地域に在住していた。

 年齢別の患者数の動向を見ると、70歳以上の患者割合が年々増加しており、2002年が26%だったのに対し、2008年は42%に増加。患者数は6年間で10倍以上増えていた。

 通院時間の中央値は30分で、患者の9割は通院時間が1時間以内だった。通院手段を見ると、公共交通機関を利用する患者は53%(電車44%、バス9%)、自家用車は40%だった。

 これらの結果から福原氏は、「高齢患者は放射線治療の適応になりやすいが、通院時間が長いと外来通院は困難。近くに放射線治療可能施設ができたことで、高齢患者の受診数が増加したと考えられる」と指摘。「今後も、高齢癌患者の増加に伴い、放射線治療患者が増加することが予想される。放射線治療は外来で実施可能であり、医療費を抑制できるというメリットがある。外来通院による放射線治療を行う環境を整えるためには、放射線治療施設を均てん化するべきである」と語った。