放射線治療中の望ましい診察頻度について医師と患者にアンケートを行った結果、医師の7割、患者の9割が「週1回」と回答したことが報告された。2012年11月23日から25日まで東京都内で開催された第25回日本放射線腫瘍学会学術大会で、山形大学医学部がん臨床センター長の根本建二氏が発表した。

 今回報告された意識調査は、日本放射線腫瘍学会の毎日診察問題ワーキンググループが行ったもの。このワーキンググループは、医師法第20条の「医師は、自ら診察しないで治療をしてはならない」の解釈を巡り、議論が必要となったことから、日本放射線腫瘍学会の医師4人が立ち上げた。一般的な放射線治療においては、週におよそ1回診察した上で毎日照射を実施するケースが多かったが、毎日診察しないと「無診察治療にあたる」という指摘から、ここ数年、全国で診療報酬の返還が相次いだ。

 昨年には、同ワーキンググループの調査結果を踏まえた上で、日本放射線腫瘍学会が保険算定要件の解釈に関して要望書を提出。今年の診療報酬改定では算定要件が緩和され、週1回の診察でも治療の安全性を十分に担保できる施設においては毎日の診察が不要となった。また、外来での放射線治療時に、医師の指示をもとにした看護師や診療放射線技師などのチームによる診察を評価する「外来放射線照射診療料」が創設されるに至った。

 今回、根本氏が報告したのは、要望書の基のデータとなった調査のうち、医師と患者の診察頻度に関する意見について。医師への調査は、2011年6〜7月に日本放射線腫瘍学会代議員160人を対象に行われ、回答率は88%だった。患者への調査は、対象施設(慶応大学、京都大学、東京大学、山形大学と東北がんネットワーク、山梨大学と関連病院)で2011年7月25日〜8月12日に放射線治療を受けた患者を対象に行われた。外来診察時に調査用紙を手渡しし、協力を依頼した。有効回答数は1024人だった。患者の53.9%は現在放射線治療中だった。

 まず患者へのアンケート結果を見ると、診察回数が少なくて困ったことがあると回答としたのは2.0%に止まり、97.1%の患者が「困ったことはない」と回答した。

 診察回数で困ったことがあると回答した患者の治療部位をみると、脳が12%(3例)で、ほかの部位よりも多かった。週1回、週2〜4回の診察を受ける患者のそれぞれ3%が「診察回数で困ったことがあった」と回答した。

 放射線治療中の望ましい診察頻度については、患者の93%が「週1回」と回答。「毎日」と回答した人は6%だった。

 一方、放射線治療中の望ましい診察頻度について医師にも尋ねたところ、医師の72%が「週1回」と回答。次いで「週2回以上」(18%)、「毎日」(4%)だった。

 医師に「毎日診察が必要だと思う疾患群があるか」と質問したところ、49%の医師が「ある」と回答した。具体的な疾患としては、早期反応が強いと予測される患者、全身状態が不良の患者、高精度照射患者、化学療法併用患者、全身照射患者、緊急照射患者、ペースメーカー使用患者などが挙げられた。

 これらの結果から根本氏は、「医師、患者ともにその多くが週1回の診察で十分だと認識している。一方、医師の半数は毎日の診察が必要な患者もいると感じている実態も明らかになった。診察回数で困ったことのある患者は数%に止まった」とまとめた。また海外の放射線治療の診察頻度を調べた結果、週1回の国が多かったこともあわせて紹介した。