非小細胞肺癌患者に対する化学放射線同時併用療法において、放射線肺炎を予測する因子を検討した結果、高齢で、照射肺体積(V20値)が高値、カルボプラチン+パクリタキセルで治療した患者は発症リスクが高いことが報告された。メタ解析「STRIPE」の結果によるもので、兵庫県立がんセンター放射線治療科の辻野佳世子氏が、2012年11月23日から25日まで東京都内で開催された第25回日本放射線腫瘍学会学術大会で発表した。
 
 これまでに、化学放射線同時併用療法時の放射線肺炎を予測する因子を検討したレビューがあり、ある一定以上の線量が照射されると放射線肺炎の発症率が増加したことを報告している。しかし、施設ごとに患者データにばらつきがあるため、メタ解析を行う必要性が指摘されていた。

 そこで辻野氏らは、化学放射線同時併用療法を行った非小細胞肺癌患者のデータを基に、放射線肺炎の予測因子を検討するメタ解析を行った。過去の文献を基に各施設にコンタクトをとり、最終的に12施設からデータを収集。アジアから253例、北米から286例、欧州から297例の合計836例のデータを集積した。

 患者背景は、年齢中央値が63歳、男性は72%、喫煙歴がある患者は90%、扁平上皮癌が40%、腺癌が30%を占めた。術前化学療法は56%、術後化学療法は23%の患者で行われていた。化学放射線同時併用療法のレジメンは、シスプラチン+エトポシドが38%、カルボプラチン+パクリタキセルが26%、その他が36%だった。照射線量中央値は60Gy、肺への平均線量中央値は17Gy、V20(20Gy以上照射された全肺に対する割合)中央値は30%だった。

 全生存期間中央値は20カ月、放射線肺炎の発症率は29.8%(249例)、うち致死的な放射線肺炎は1.9%(16例)だった。

 多変量解析を行った結果、化学放射線同時併用療法における放射線肺炎を予測する最も強い因子として、抗癌剤レジメンの種類が抽出された。シスプラチン+エトポシド群を対照にした際のカルボプラチン+パクリタキセル群の放射線肺炎発症のオッズ比は3.33(95%信頼区間:1.89-5.87)だった。また、V20値も有意な因子として抽出された(オッズ比1.03、95%信頼区間:1.01-1.05)。高齢者で発症率が高い傾向があったほか、平均照射線量は有意な因子ではなかった。

 さらに、致死的な放射線肺炎を予測する因子を多変量解析した結果、1回照射線量が2Gy超、V20値が高値、腫瘍位置が下葉にあること――が抽出された。

 V20の値別に放射線肺炎発症率を見ると、V20値の上昇に伴い、致死的なものを含め、発症率が増加した。V20が20%未満群では、放射線肺炎発症率が18.4%、うち致死的な放射線肺炎は0%。20〜29.99%群ではそれぞれ30.3%、1.0%、30〜39.99%群では32.6%、2.9%、40%以上群では35.9%、3.5%だった。

 再帰分割解析を行ったところ、抗癌剤のレジメンの種類、年齢、平均照射線量の3項目で、放射線肺炎リスクを3群に分けることが可能だった。カルボプラチン+パクリタキセルで治療した65歳超の患者は高リスク群に分類。一方、65歳以下でカルボプラチン+パクリタキセルで治療した平均照射線量10Gy未満の患者、シスプラチン+エトポシドまたはその他のレジメンで治療かつV20値が25%未満の患者は低リスク群だった。 

 これらの結果から辻野氏は、「有症状の放射線肺炎を予測する因子はV20値、抗癌剤の種類、年齢で、致死的な放射線肺炎の予測因子は1回照射線量、V20値、腫瘍の位置だった。高齢患者にタキサンを用いた化学放射線同時併用療法を行う場合は、特に放射線肺炎に対して注意が必要であると考えられる」とまとめた。

 また、カルボプラチン+パクリタキセル群において放射線肺炎発症率が高かったことについて辻野氏は、「カルボプラチン+パクリタキセル群で高齢者が多かったわけではなく、高齢者の約4割はそのほかのレジメンを選択していた。これまでに、化学放射線同時併用療法または術後化学療法でタキサンを使用した場合、放射線肺炎の発症率が増加したという報告がいくつかあることを踏まえると、放射線肺炎発症率の増加は、タキサンによる放射線増感作用の影響が考えられる」と考察した。