日本における前立腺癌患者への術後アジュバント放射線による5年生化学的非再発生存率(bRFS)は56.5%だった。また、術後にPSA nadir値が0.2ng/mL以下まで低下した患者に対し、術後3カ月以内に放射線治療を開始することで比較的良好な治療成績が期待できる可能性があることが報告された。JROSG(Japanese Radiation Oncology Study Group)研究によるもので、東京慈恵会医科大学放射線医学講座の青木学氏が、11月23日から25日まで東京都内で開催された第25回日本放射線腫瘍学会学術大会で発表した。

 海外においては、術後に予後不良因子のある前立腺癌患者に対し、術後アジュバント放射線治療を検討するケースが増えている。一方、日本では術後アジュバント放射線治療を積極的に実施している施設は少なく、その治療成績は明らかでない。

 そこで、青木氏らは、日本における前立腺癌患者に対する術後アジュバント放射線治療の治療成績と予後因子を検討した。

 対象は、23施設において、2005〜2007年に術後アジュバント照射が施行され、解析可能だった前立腺癌患者93人。

 患者の年齢中央値は64歳、術前の最も高いPSA値(i-PSA)中央値は11.8ng/mL、術後PSA nadir(術後およそ1カ月の最低値)は0.188ng/mL。グリソンスコア7/8/9はそれぞれ37.8%/22.2%/26.7%。断端陽性は73.3%。精嚢浸潤なしが71.1%、前立腺外進展(EPE)ありが65.6%を占めた。術後から放射線治療を行うまでの期間中央値は3カ月で、ホルモン療法なしが47.8%、術前ホルモン療法のみが38.9%だった。ホルモン療法期間中央値は4カ月。大半の患者における治療計画はCTシミュレーションで行われており、照射法は3D-CRTが56人、4門照射が33人だった。およそ65%の患者において総線量が60〜65Gyだった。

 観察期間中央値は62カ月(11〜92カ月)、再発までの期間中央値は50カ月だった。

 解析の結果、3年生化学的非再発生存率(bRFS、PSA再発0.2ng/mL超と定義)は65.4%、5年bRFSは56.5%だった。

 精嚢浸潤の有無別の5年bRFSは、精嚢浸潤あり群が35.8%、精嚢浸潤なし群が65.1%で、有意差が確認された。(p=0.0115)。術後のPSA nadir値別の5年bRFSは、0.2ng/mL以下が68.3%だったのに対し、0.2ng/mL超は43.6%と有意に低かった(p=0.02)。

 手術から放射線療法までの期間別の5年bRFSは、3カ月超が43.0%だったのに対し、3カ月以下が65.0%と高かったが、有意差は見られなかった(p=0.0697)。

 さらに、多変量解析でbRFSの有意な予後予測因子を検討した結果、精嚢浸潤、術後のPSA nadir値が抽出された(それぞれp=0.0106、p=0.0179)。ホルモン療法の投与法と投与期間、i-PSA値、グリソンスコア、年齢、EPEは有意な予後因子ではなかった。

 これらの結果から青木氏は、「前立腺癌における術後アジュバント放射線治療は、術後にPSA nadir値が0.2ng/mL以下まで低下した患者に対して、術後3カ月以内に開始することで比較的良好な結果が期待できる可能性がある」と指摘した。さらに、「今回の調査結果と比べ、現在の術後アジュバント放射線治療は照射線量も高くなっており、今回の解析結果と異なる可能性がある。今後は、今回の調査結果を踏まえ、できればRCTにつなげていきたい」と語った。