退形成性乏突起膠細胞系腫瘍(AO)患者の放射線治療後に、プロカルバジン+ロムスチン+ビンクリスチン(PCV)の多剤化学療法を受けると無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)が延長できることが明らかとなった。特に抗がん剤に対する感受性が高いことが知られている第1染色体単腕1pと第19染色体長腕19qの両方が欠失した患者(同時欠失群)ではより効果が高かった。また、試験後の解析だが、MGMT(O6-methylguanine DNA-methyltransferase)遺伝子プロモーターがメチル化された患者、ゲノムを広くメチル化するIDH(isocitrate dehydrogenase)遺伝子の変異がある患者でPCV療法を受けた患者にはOS改善傾向が認められた。

 AO患者に対して放射線治療後にPCVの多剤化学療法追加の効果を評価する前向きフェーズ3試験、EORTC 26951の長期観察およびバイオマーカー解析の結果示されたもの。11月15日から18日に米国ワシントン D.Cで開催された第17回神経腫瘍学会(SNO2012)で、オランダErasmus MC - Daniel den Hoed Cancer CenterのMartin J. van den Bent氏によって発表された。

 EORTC 26951試験には、1996年から2002年の間に地域の病理医によって新規に診断されたAO患者368人が参加した。患者は59.4Gy(1.8Gyを33回)の放射線治療のみを受ける群(RT群)と、同じ線量の放射線治療に続いて標準的なPCV化学療法を6サイクル受ける群(RT/PCV群)に無作為に割り付けられた。主要評価項目はOSとPFSだった。

 試験の結果、RT/PCV群のPFS中央値は24カ月、RT群は13カ月で、ハザード比0.66(95%信頼区間:0.52−0.83)、p=0.003で有意にRT/PCV群が長かった。OS中央値も RT/PCV群は42カ月、RT群は31カ月で、ハザード比0.75(95%信頼区間:0.60−0.95)、p=0.018で有意にRT/PCV群が長かった。

 試験の途中の2001年に、1p/19qの解析が行われることになり、316人の解析が行われ、同時欠失患者(80人)が同定された。同時欠失患者でRT/PCVを受けた患者(43人)のOS中央値は未到達、RTのみの患者(37人)の中央値は112カ月となり、ハザード比0.56(95%信頼区間:0.31−1.03)、p=0.059でRT/PCVを受けた患者に良い傾向があった。RTのあとにPCV療法を加えることで、OSは9年から12年超へと増加した。

 同時欠失がなかった236人では、OS中央値はRT/PCV群(114人)が25カ月、RT群(122人)が21カ月、ハザード比0.83(95%信頼区間:0.62−1.10)、p=0.19で有意な差はなかった。

 また試験終了後にMGMTプロモーターメチル化が183人で調べられ、136人がメチル化されていた。IDH遺伝子変異は178人で調べられ81人で変異が認められた。

 1p/19q同時欠失腫瘍のほとんどが、IDH遺伝子変異を持っていた。IDH変異のある腫瘍のほとんどで、MGMTプロモーターがメチル化されていた。

 IDHの変異のある患者ではRT/PCV群(45人)のハザード比は0.53、変異のない患者(73人)のハザード比は0.78だった。IDH変異がありMGMTプロモーターがメチル化された腫瘍ではPCV補助療法がより有益である傾向があった。