全身療法が必要な進行肝細胞癌(HCC)での標準療法は現在もソラフェニブである。11月9日から11月13日にボストンで開催されたThe Liver Meeting 2012(AASLD2012)で、米Mayo Cinic RocheserのGregory J. Gores氏が「Update on Treatment Strategies for Hepatocellular Carcinoma」というタイトルの発表の中で示した。

 Gores氏はまず、HCCの臨床試験は多様性だらけであると指摘した。HCCが遺伝子的に多様であり、病気の原因、機能障害、患者の民族にも多様性があり、標準的な治療方法が欠如しているのが現状だという。ソラフェニブとTACEとの併用も、SPACE試験、日韓で行われたPost TACEの試験で有効性は示せず、うまくいかないのではないかと危惧しているとした。

 ベバシズマブ、ソラフェニブは間質細胞からのVEGFを、brivanibは間質細胞からのVEGFと癌細胞からのFGFを阻害することで血管新生を抑制していると考えられている。

 しかし、brivanibをソラフェニブ後のセカンドラインとして投与するBRISK-PS試験では、OS中央値はbrivanib群9.4カ月、プラセボ群8.2カ月、ハザード比0.89(95.8%信頼区間:0.69-1.15)、p=0.3307で有意差を示せなかったことを紹介した(今学会ではファーストラインでのソラフェニブとの非劣性も証明されなかった)。

 EGFRを標的としたエルロチニブはフェーズ2試験でOS中央値が13カ月と有望な結果を示したが、ソラフェニブとの併用効果を調べた720人を対象としたSearch試験の結果は、併用の有用性を示せなかった。

 METを標的分子として、生物学的アンタゴニスト、HGFまたはMETに対する抗体、低分子が数多く開発されている。そのうちの1つであるTivantinibは、MET発現が亢進しているHCCの患者でのみセカンドラインでプラセボよりもOSが良く、効果は限定的な可能性を指摘した。

 またmTOR阻害剤が多くの癌種で開発が行われている。しかしエベロリムスとソラフェニブの併用とソラフェニブ単剤投与を比較する試験は、併用群で毒性が強すぎたため中止されたことも指摘した。

 Gores氏は、将来の方向性として、PD/PD-1を標的とした治療など腫瘍の微小環境調節、バイオマーカーで層別化した治療、腫瘍溶解ウイルス、HDAC阻害剤やメチル化阻害剤などのエピジェネティック調節を挙げた。