進行肝細胞癌(HCC)に対して、ファーストラインとしてbrivanibソラフェニブと比較したフェーズ3試験、BRISK-FLの詳細が明らかとなった。主要評価項目である全生存期間(OS)の非劣性は示せなかったが、増悪までの期間(TTP)、疾患制御率(DCR)は同等、奏効率(ORR)はbrivanibが優れる傾向があった。brivanibの安全性プロファイルは受け入れられるものだったが、ソラフェニブに比べると劣っていた。11月9日から11月13日までボストンで開催されているThe Liver Meeting 2012(AASLD2012)で、英University of BirminghamのP.Johnson氏によって発表された。

 BRISK-FL試験は、日本を含む国際ランダム化二重盲検フェーズ3試験として実施された。対象は手術不能進行HCCで全身療法を受けたことのない患者。患者は、ECOG PS 0と1、肝外への広がりかつ/または血管浸潤あり、なし、試験地域で層別化し、1日1回brivanib(800mg)経口投与と2回プラセボを投与される群(brivanib群)か1日2回ソラフェニブ(400mg)経口投与と1回プラセボを投与される群(ソラフェニブ群)にランダムに1対1で割り付けられた。主要評価項目はOS。副次評価項目はTTP、ORR、DCRと安全性だった。

 全体で1155人(アジア62%、欧州23%、アメリカ13%)が、ソラフェニブ群578人、brivanib群577人に割り付けられた。患者背景には差がなかった。

 OS中央値はbrivanib群9.5カ月に対して、ソラフェニブ群9.9カで、ハザード比1.06(95%信頼区間:0.94-1.23)となり、非劣性の95%信頼区間上限1.08を上回ったため、主要評価項目は達成されなかった(p=0.3116)。カプランマイヤー曲線はほぼ重なっているが、10カ月から18カ月目の間と22カ月目以降はソラフェニブ群がわずかに上回っていた。サブセット解析でもほとんどがソラフェニブ群優位の傾向にあった。

 TTP中央値はbrivanib群4.2カ月、ソラフェニブ群4.1カ月(p=0.8532)、ハザード比1.01(95%信頼区間:0.88-1.16)、p=0.8532、DCRはbrivanib群65.5%(95%信頼区間:61.5-69.4)、ソラフェニブ群64.7%(95%信頼区間:60.7-68.6)、オッズ比1.02(95%信頼区間:0.80-1.30)、p=0.8739で両群は同等だった。TTPのカプランマイヤー曲線は前半はbrivanib群がわずかに上回るが、10カ月以上になるとソラフェニブ群が上回っていた。

 完全奏効はbrivanib群が0.3%、ソラフェニブ群が0.9%で、ORRはbrivanib群が12.0%(95%信頼区間:9.4-14.9)、ソラフェニブ群8.8%(95%信頼区間:6.6-11.4)で、オッズ比1.45(95%信頼区間:0.99-2.13)、p=0.0569でbrivanib群で良好な傾向だった。AFPが50%以上減少した患者もbrivanib群が58%、ソラエニブ群が31%でbrivanib群の方が多かった。

 投薬中止の理由は、病状の進行がソラフェニブ群53%、brivanib群46%、治療に関連する副作用はソラフェニブ群15%、brivanib群24%だった。投薬期間中央値はソラフェニブ群が4.1カ月(95%信頼区間:3.4-4.2)、brivanib群3.2カ月(95%信頼区間:2.8-3.8)で、brivanib群が薬剤の副作用で早期に投薬終了となっていることが示された。減量はソラフェニブ群50%、brivanib群49%と差はなく、後治療の割合も同等だった。

 最後の投与から30日以内の死亡は、ソラフェニブ群17%、brivanib群16%、薬剤毒性による死亡はソラフェニブ群0.3%、brivanib群1.6%だった。全ての重篤な副作用は、全グレードがソラフェニブ群52%、brivanib群59%、グレード3-5はソラフェニブ群41%、brivanib群50%、全ての副作用は全グレードがソラフェニブ群99%、brivanib群98%、グレード3-5はソラフェニブ群81%、brivanib群82%、薬剤の中止につながった副作用は、全グレードがソラフェニブ群33%、brivanib群43%、グレード3-5はソラフェニブ群27%、brivanib群36%だった。

 brivanib群で多く見られた副作用は、低ナトリウム血症(グレード3-5はbrivanib群24%、ソラフェニブ群10%)、倦怠感(15%、7%)、高血圧(14%、5%)、食欲減退(8%、3%)、吐き気(2%、1%未満)、嘔吐(3%、1%)だった。ソラフェニブ群で多く見られた副作用は手足症候群(グレード3-5はbrivanib群2%、ソラフェニブ群15%)で、皮疹、脱毛はグレード3-5は両群で差がなかったが、全グレードにするとソラフェニブ群の方が多かった。

 Johnson氏は「brivanibの副作用による早期中止が、非劣性が証明できなかったことに関連していると思う」と語った。