アイルランドのダブリンで開催されているEORTC-NCI-AACR Symposium on Molecular Targets and Cancer Therapeuticsでは、日本企業が開発中の(一部は既に臨床入り)製剤の発表が相次いだ。

 まず注目されたのは大鵬薬品の発表。経口5FU系抗癌剤の活性を高める可能性のあるTAS-114、EGFRの2次変異であるT790Mにも効果が期待できそうなTAS-2913の前臨床試験結果が発表された。

 TAS-114は、S-1との併用(日本)、カペシタビンとの併用(欧米)で既にフェーズ1試験が開始されている。TAS-114にはdUTPase(deoxyuridine triphosphatase) 阻害活性があり、しかも低度のDPD(dihydropyrimidine dehydrogenase)阻害活性がある。dUTPaseは癌細胞で5-FUとウラシルがDNAに誤って取り込まれないように働く蛋白質であるため、dUTPaseを阻害することで、5-FUによる殺細胞効果を高めることが期待されている。今回の発表ではin vivoの実験でS-1の抗腫瘍効果が高まることが報告された。また、カペシタビンとの併用ではDPD阻害活性があるため、より少ないカペシタビンの量で同等の抗腫瘍効果が前臨床試験で確認できたことが報告された。

 また、TAS-2913は、EGFRの活性化変異に対する2次変異T790Mにも、afatinibよりも一桁低い濃度で効果を発揮することがin vitroと移植モデルを用いた実験で報告された。

 一方、アステラス製薬は、フェーズ1試験を進めている経口IGF-1R阻害剤linsitinibに関する前臨床試験結果を発表した。linsitinibを投与することで、クリゾチニブ抵抗性の細胞株に同社のALK阻害剤であるASP3026が効果を取り戻すことをin vitroで確認したデータが発表された。