総PSA値が4.0〜10ng/mLを示す日本人男性において、PCA3スコアは遊離型/総PSA比(f/t PSA)よりも前立腺癌の生検の結果の予測能が高いことが示された。9月29日から福岡市で開催された第32回国際泌尿器科学会(SIU2012)で、京都府立医科大学泌尿器科の落合厚氏が発表した。

 PCA3遺伝子は前立腺上皮組織にのみ存在し、前立腺癌に過剰発現する。PCA3は「PCA3のmRNA/PSAのmRNA」のスコアとして報告される。今回、このPCA3スコアの、前立腺生検を行った患者における前立腺癌予測能について評価した。

 対象は、2009年から2011年までに、PSA値が上昇もしくは直腸診で異常所見が認められ、8カ所以上の多箇所系統的前立腺生検を行った647人。国内の複数の施設から登録した。うち158人は過去に複数回の生検を行っていた。尿サンプルは直腸指診後に採取し、PCA3スコアを測定した。

 前立腺生検の結果、ASAP、HGPINについては陰性と診断した。臨床的に重要でない癌の定義は、T1c、コア陽性率33%未満、Gleasonスコア7未満、PSAD(前立腺単位体積あたりのPSA)が0.15ng/mL/cm3未満とした。

 追跡の結果、633人の尿サンプルが解析可能であり、そのうち264人(41.7%)は前立腺癌陽性と診断された。PSA中央値は7.6ng/mL。

 生検の結果で陽性だったグループと陰性だったグループの背景を比較した結果、中央値は陰性例では年齢67歳、PSA値7.0ng/mL、前立腺容積38.0mL、PSADは0.18ng/mL/cm3、生検コア数12、PCA3スコア18だった、陽性例では年齢71歳、PSA値9.0ng/mL、前立腺容積29.1mL、PSADは0.36ng/mL/cm3、生検コア数12、PCA3スコア49だった。陽性例は陰性例に比べて、有意に高齢で、PSA値、PSAD値、PCA3スコアが高く、前立腺容積は低かった。

 血清PSA値の範囲と前立腺癌陽性率について検討した結果、4ng/mL以下では22.7%、4〜10ng/mLでは34.3%、10〜20ng/mLでは48.8%、20〜50ng/mLでは63.0%、50ng/mL超では100%だった。以降の解析はPSA値50ng/mL超で再生検を行った症例と初回の生検でPSA値が20ng/mL超だった患者は除外して検討した。

 PCA3スコア35.0をカットオフとした場合、感度67%、特異度72%、診断の正確性は70%となった。

 ROC解析におけるAUCを比較した結果、全対象者では、PSAが0.583だったのに対し、PCA3スコアは0.748と有意に高かった。PCA3スコアとPSADには有意な差はなかった。次にPSA値が4〜10ng/mLのみの対象者についてROC解析を行った結果、PCA3スコアは0.742で、PSAの0.557と比べて有意に高かった。また、遊離型/総PSA比については0.647で、PCA3スコアの方が有意に高かった。前立腺容積50mL超でPCA3スコア20未満の場合、56人中わずか1人(1.7%)しか前立腺癌と診断されなかった。

 一方、PCA3スコアとGleasonスコア、病気分類(ステージ)、コア陽性率、臨床的に重要な癌かどうか、などには有意な相関は認められなかった。

 これらの結果から落合氏は、「PSA値4〜10ng/mLの日本人男性において、PCA3スコアは遊離型/総PSA比と比べて生検結果の予測能に優れていた。前立腺容積とPCA3スコアを組み合わせることで、前立腺肥大症例に対する不必要な生検を減らすことができる」と語った。