進行肝細胞癌に対してソラフェニブと開発中の抗体であるtigatuzumabは忍容性があり、有効性も期待できる可能性が示された。9月14日からベルリンで開催されたInternational Liver Cancer Association(ILCA)の第6回年次集会で、台湾National Taiwan University HospitalのAnn-Lii Cheng氏が発表した。

 tigatuzumabは、細胞死受容体5アゴニスト(death receptor 5 agonist)として働くヒト化抗体。腫瘍壊死関連アポトーシス誘導因子(TRAIL)様の活性があり、アポトーシスを誘導すると期待されている。フェーズ1試験では、転移のある固形腫瘍やリンパ腫に対して忍容性があり、抗腫瘍効果が期待できる結果が得られていた。さらに動物実験では、ソラフェニブは、肝細胞癌細胞のTRAIL抵抗性を克服し、tigatuzumabによるアポトーシスを増強する作用が示されていた。

 今回、進行肝細胞癌患者を対象に、ソラフェニブとtigatuzumabの併用投与の安全性と忍容性、有効性を評価するとともに、最大耐用量を決定するフェーズ1b試験を行った。

 対象は、化学療法を受けていない進行肝細胞癌で、ECOG PSが1以下、肝機能はChild-Pugh Aの患者とした。対象を、tigatuzumabを週1回2mg/kg、4mg/kg、6mg/kgの3つの用量の3群(各々3人)に分け、ソラフェニブと併用投与した。4週後、用量制限毒性を評価するためtigatuzumabを増量した。

 対象者9人の患者背景は、年齢49歳、全例アジア人で、ECOG PSが0が6人、診断時ステージIIが2人、ステージIIIaが4人、ステージIIIcが1人、ステージIVが2人、BCLCステージBが2人、Cが7人、背景肝はHBVが5人、HCVが2人、アルコール性が1人、全例が前治療を受けており、手術を7人、局所治療を8人が受けていた。

 追跡の結果、用量制限毒性は確認されず、最大耐用量は決定できなかった。

 主なグレード3以上の有害事象は、リパーゼ上昇(4人)、手足皮膚症候群3人、AST上昇(2人)、アミラーゼ上昇(2人)。tigatuzumabに関連した有害事象は、QT延長、急性膵炎、血清アミラーゼ上昇、好中球減少がそれぞれグレード3が1人ずつ、リパーゼ上昇がグレード4で1人見られた。重篤な有害事象は消化管出血1例、発熱1例、食道静脈瘤出血1例、腫瘍進行1例、血清アミラーゼ上昇1例、腰部脊椎圧迫が1例と5人の患者に6つ見られた。

 9人の有効性を評価した結果、部分奏効が2人、病勢安定が4人に得られた。

 これらの結果から、Cheng氏らは、tigatuzumabとソラフェニブの併用は忍容性があり、多くの有害事象はソラフェニブ投与で知られているものだが、重篤な有害事象として食道静脈瘤出血、血清アミラーゼ上昇、発熱が見られたとした。この結果を受け、フェーズ2試験では、tigatuzumabを開始用量6mg/kgとし、維持量2mg/kgか6mg/kgとしてソラフェニブと併用する2群と、ソラフェニブ単独群の計3群を比較するものとして進行中であるとした。