ソラフェニブ投与後に進行あるいはソラフェニブ不耐性な進行肝細胞癌に対するbrivanib投与は、治療開始時のAFP値が100ng/mL以上で治療によって50%以上低下した場合に、プラセボに比べて生存期間が改善することが示された。9月14日からベルリンで開催されたInternational Liver Cancer Association(ILCA)の第6回年次集会で、フランスInstitut Paoli CalmetteのJean-Luc Raoul氏が発表した。

 血管内皮増殖因子(VEGF)および線維芽細胞増殖因子(FGF)のチロシンキナーゼ阻害薬であるbrivanibは、肝細胞癌に対する抗腫瘍効果を示すものの、ソラフェニブ既治療の進行肝細胞癌に対し、プラセボ投与と比べ生存期間を有意に延長しないことが、最近フェーズ3試験であるBRISK-PS試験で示された。なお、brivanibはプラセボ群に対し、進行までの期間、病勢コントロール率、客観的奏効率は改善していた。

 一方、治療開始時のAFP高値例は予後が悪い可能性が、また治療開始後のAFP値の低下は予後の改善と相関することが示されている。

 そこでRaoul氏らは、BRISK-PS試験を対象に、登録時のAFP値と治療開始後のAFP値の変化に注目した検討を行った。

 BRISK-PS試験では、brivanib群263例、プラセボ群132例が割り付けられ、年齢64歳、男性比率が83%で、ソラフェニブ投与後進行例が87%、ソラフェニブ不耐性例が13%、背景肝はHBVが37%、HCVが27%、アルコール性肝炎が25%、AFP値200ng/mL以上例が50%(brivanib群52%、プラセボ群45%)、遠隔転移ありが65%、血管浸潤例が27%、リンパ節転移例が35%だった。

 試験全体では、全生存期間はプラセボ群8.2カ月に対し、brivanib群9.4カ月で、ハザード比0.89(95.8%信頼区間:0.69-1.15、p=0.33)で、生存期間の有意な改善は認められなかった。

 登録時のAFP値について、100ng/mLを閾値とした場合、100ng/mL未満では、プラセボ群のOSが10.3カ月に対し、brivanib群14.0カ月、100ng/mL以上ではプラセボ群5.2カ月に対しbrivanib群6.6カ月で、AFP値によるハザード比は0.53(95%信頼区間:0.42-0.69)。200ng/mLを閾値とした場合、200ng/mL未満ではプラセボ群10.3カ月に対しbrivanib群12.9カ月、200ng/mL以上ではプラセボ群4.9カ月に対しbrivanib群6.5カ月で、AFP値によるハザード比は0.54(同:0.43-0.69)。400ng/mLを閾値とした場合、400ng/mL未満では、プラセボ群10.3カ月に対しbrivanib群12.9カ月、400ng/mL以上ではプラセボ群4.9カ月に対してbrivanib群6.0カ月で、AFP値によるハザード比は0.51(同:0.40-0.65)。これらの結果から、予後を予測する登録時AFP値の閾値を示すことはできないとした。

 登録時に施設正常値以上のAFP値を示した患者(brivanib群179例、プラセボ群89例)において、治療開始後にAFP値が50%以上減少したのは、bribaniv群54%、プラセボ群7%で、bribaniv群でAFP値が50%以上減少した患者が多かった。

 登録時AFP値が100ng/mL以上の患者を対象に、治療開始から4週間以内のAFP値が20%以上減少したかどうかで分けて検討した結果、プラセボ群で20%以上低下したグループ(10人)のOS中央値は10.7カ月、20%以上低下しなかったグループ(52人)は4.9カ月だったのに対し、bribaniv群で20%以上低下したグループ(97人)は7.6カ月、20%以上低下しなかったグループ(36人)は6.4カ月で、早期のAFP値の変化と予後との関係は明確には示されなかった。

 次に、登録時AFP値100ng/mL以上の患者を対象に、治療開始からAFP値が50%以上低下したかどうかで分けて検討した結果、プラセボ群で50%以上低下したグループ(5人)のOS中央値は23.8カ月、50%以上低下しなかったグループ(57人)は4.9カ月だったのに対し、brivanib群で50%以上低下したグループ(68人)は8.5カ月、50%以上低下しなかったグループ(65人)は5.7カ月で、bribanib群において、登録時からのAFP値50%以上の低下とOSに有意な相関が見られることが明らかとなった(ハザード比0.59、95%信頼区間:0.39-0.90)。なお、プラセボ群でAFP値が50%以上低下した患者については、症例数が少ないため検討が難しいとした。

 治療開始時AFP値が100ng/mL以上で治療によりAFP値が50%以上低下した患者において、AFP値が50%以上低下するまでの期間(中央値)は、プラセボ群(5人)が2.1カ月だったのに対し、brivanib群(68人)は0.5カ月で、brivanib群の8割は治療開始から1カ月以内に50%以上低下していた。

 Raoul氏らは、予後予測因子およびサロゲートマーカーとしてのAFPの使用についてさらなる検討が必要と締めくくった。