再発乳癌に対する治療を選択する際、日本人においても原発巣と再発癌では組織のバイオマーカーが10%から30%異なることが、レトロスペクティブな解析から示された。またホルモン受容体の不一致は予後の悪さとは関連しないが、HER2の不一致は予後不良に関連する可能性が示された。9月13日から15日に米サンフランシスコで開催されたBreast Cancer Symposium 2012(ASCO Breast2012)で、慶応義塾大学外科の松本暁子氏によって発表された。

 研究グループは、2007年1月から2012年4月の間に慶応大学病院で再発部位の切除またはバイオプシーを行った再発乳癌患者について、ホルモン受容体とHER2の変化を調べた。対象となった患者は45人。年齢中央値は49.0歳(27-78)。原発巣の中央値は1.8cm(0.1-6.8)。臨床的リンパ節転移陽性が10人だった。

 病理学的には核グレード1が9人、2が14人、3が10人、不明が12人。陽性リンパ節数は0が25人、1から3が12人、4以上が5人、不明が3人だった。原発巣のバイオマーカーはエストロゲン受容体(ER)陽性が32人、陰性が13人、プロゲステロン受容体(PgR)陽性が29人、陰性が16人、HER2はIHC 0が10人、1+が8人、2+でFISH陽性が2人、2+でFISH陰性が6人、2+でFISH不明が4人、3+が10人、不明が5人だった。局所再発は18人(皮膚が10人、リンパ節が8人)、遠隔再発は27人(肺21人、肝4人など)だった。

 バイオマーカーを原発巣と再発部位で比較すると、ERは一致したのが39人(86.7%)、陰性から陽性になったのが4人(8.9%)、陽性から陰性になったのが2人(4.5%)で、合計で6人(13.3%)が変化した。PgRは一致したのが33人(73.3%)、陰性から陽性になったのが2人(4.5%)、陽性から陰性になったのが10人(22.2%)で、合計で12人(26.7%)が変化した。HER2は一致したのが34人(75.6%)、陰性から陽性になったのが2人(4.5%)、陽性から陰性になったのが3人(6.7%)で、合計で5人(11.1%)が変化した。

 サブタイプ別にみると、原発巣がLuminal型で転移巣がLuminal型は19人(82.6%)、トリプルポジティブが2人(8.7%)、HER2が0、トリプルネガティブが2人(8.7%)だった。原発巣がトリプルポジティブで転移巣がLuminal型は3人(27.3%)、トリプルポジティブが7人(63.6%)、HER2が1人(9.1%)、トリプルネガティブが0人だった。原発巣がHER2型で転移巣がLuminal型は0人、トリプルポジティブが2人(66.6%)、HER2が0人、トリプルネガティブが2人(8.7%)だった。原発巣がトリプルネガティブで転移巣がLuminal型は2人(25%)、トリプルポジティブが0、HER2が1人、トリプルネガティブが5人(62.5%)だった。

 バイオマーカー変化と転移の部位との関係は、ER、PgR、HER2のいずれも遠隔転移が多い傾向があったが有意な差ではなかった。また術後補助療法を行っているとバイオマーカーの変化が多い傾向があったという。

 増悪までの時間(TTP)中央値は、ER一致群が20.8カ月、ER不一致群が29.3カ月(p=0.238)、PgR一致群が14.1カ月、PgR不一致群が22.2カ月(p=0.555)、HER2一致群が14.7カ月、HER2不一致群が6.0カ月(p=0.106)で、HER2が発現していた組織が転移巣で変化していると予後が悪い可能性が示された。