進行性の非扁平上皮非小細胞肺癌(NSCLC)患者において、ペメトレキセド+カルボプラチン+ベバシズマブによる導入療法とペメトレキセド+ベバシズマブによる維持療法は、標準治療であるパクリタキセル+カルボプラチン+ベバシズマブによる導入療法とベバシズマブによる維持療法と比較して、主要評価項目である全生存期間は改善できなかった。しかし、無増悪生存期間(PFS)はパクリタキセル+カルボプラチン+ベバシズマブに比べ、有意差をもって延長した。フェーズ3のPointBreak試験で示されたもの。9月6日から8日までシカゴで開催された2012 Chicago Multidisciplinary Symposium in Thoracic Oncologyのプレナリーセッションで、米Northwestern UniversityのJyoti D. Patel氏が発表した。

 進行性の非扁平上皮NSCLCのファーストライン治療として、米国ではパクリタキセル+カルボプラチン+ベバシズマブ、ペメトレキセド+シスプラチンの2つのレジメンが承認されている。単群のフェーズ2試験では、ペメトレキセド+カルボプラチン+ベバシズマブによる導入療法とペメトレキセド+ベバシズマブによる維持療法により、全生存期間(OS)は14.1カ月、無増悪生存期間(PFS)は7.8カ月となることが報告された(JD. Patel, et al. J Clin Oncol 2009;27:3248−3289)。

 今回Patel氏らは、ペメトレキセド+カルボプラチン+ベバシズマブによる導入療法とペメトレキセド+ベバシズマブによる維持療法を行う群(ペメトレキセド群)と、パクリタキセル+カルボプラチン+ベバシズマブによる導入療法とベバシズマブによる維持療法を行う群(パクリタキセル群)を比較し、ペメトレキセド群のパクリタキセル群に対する優越性を検証した。

 対象は、IIIB/IV期の非扁平上皮NSCLCで、肺癌に対する全身療法の治療歴がなく、ECOG PSが0−1の患者とし、脳転移がある場合は治療で安定していることとした。

 導入療法は21日毎に4サイクル行い、ペメトレキセド群ではペメトレキセド(500mg/m2)+カルボプラチン(AUC 6)+ベバシズマブ(15mg/kg)を投与し、葉酸とビタミンB12も併用した。パクリタキセル群ではパクリタキセル(200mg/m2)+カルボプラチン(AUC 6)+ベバシズマブ(15mg/kg)を投与した。各維持療法は進行を認めなかった患者に行われた。

 主要評価項目はOS、副次的評価項目はPFS、腫瘍増大までの期間(TTPD)、奏効率、安全性および患者報告アウトカムだった。探索的解析として、維持療法に進んだ患者のOSとPFSも検討した。

 939人が無作為化され、ペメトレキセド群472人(年齢中央値64.7歳、男性53.2%)、パクリタキセル群467人(同64.7歳、53.3%)となった。維持療法に進んだのは、ペメトレキセド群292人、パクリタキセル群298人だった。患者背景はペメトレキセド群とパクリタキセル群で均衡がとれており、ECOG PSが0の患者はそれぞれ43.9%と44.4%、IV期の患者は89.8%と90.1%、脳転移の治療歴があるのは11.0%と11.1%だった。

 無作為化からのPFS中央値は、ペメトレキセド群6.0カ月、パクリタキセル群5.6カ月、ハザード比は0.83(95%信頼区間:0.71−0.96)となり、ペメトレキセド群で有意に延長した(p=0.012)。TTPDはそれぞれ7.0カ月と6.0カ月で、ハザード比は0.79(95%信頼区間:0.67−0.94)となった(p=0.006)。奏効率はそれぞれ34.1%と33.0%だった。
 
 しかし、主要評価項目である無作為化からのOS中央値は、ペメトレキセド群12.6カ月、パクリタキセル群13.4カ月、ハザード比は1.00(95%信頼区間:0.86−1.16)となり、差はみられなかった(p=0.949)。1年および2年の生存率は、ペメトレキセド群で52.7%と24.4%、パクリタキセル群で54.1%と21.2%だった。

 維持療法に進んだ患者の無作為化からのPFSは、ペメトレキセド群8.6カ月、パクリタキセル群6.9カ月、無作為化からのOSはそれぞれ17.7カ月と15.7カ月だった。

 試験治療に関連すると考えられるグレード3以上の有害事象で、ペメトレキセド群でより多く観察されたのは、貧血14.5%、血小板減少23.3%、疲労感10.9%などで、パクリタキセル群ではそれぞれ2.7%、5.6%、5.0%だった。一方、パクリタキセル群でより多く観察されたのは、好中球減少40.6%、発熱性好中球減少4.1%、感覚性の末梢神経障害4.1%などで、ペメトレキセド群ではそれぞれ25.8%、1.4%、0.0%だった。グレード2以下の脱毛は、ペメトレキセド群6.6%、パクリタキセル群36.8%だった。

 重篤な有害事象(SAE)および有害事象による治療中止は、ペメトレキセド群でそれぞれ2.7%と10.4%、パクリタキセル群では3.6%と9.0%、有害事象による死亡はペメトレキセド群1.8%、パクリタキセル群2.3%で、同様だった。グレード5の有害事象として、中枢神経系脳血管虚血(0.2%対0.7%)、心血管事象(0.2%対0.7%)、ARDS(0.5%対0%)などが観察された。
 
 Patel氏は「両レジメンの毒性の違いは患者にとって意義があり、4期のファーストラインの患者にとって有益な1つのオプションとして考えられる」と話した。