EGFR遺伝子変異を有する進行肺腺癌患者を対象としたフェーズ3のLUX-Lung3試験では、afatinibによって主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)の延長が達成されている。同試験のEGFR遺伝子変異および人種のサブグループ解析でも、有効性が一致して認められることが報告された。9月6日から8日までシカゴで開催された2012 Chicago Multidisciplinary Symposium in Thoracic Oncologyで、米Massachusetts General HospitalのLecia Sequist氏が発表した。

 afatinibは上皮成長因子受容体(EGFR/HER1)やHER2などのErbBファミリーを選択的かつ不可逆的に阻害する経口剤。LUX-Lung3試験では、EGFR遺伝子変異を有するIIIB/IV期の肺腺癌患者345人を対象として、afatinibとペメトレキセド+シスプラチン(PC)併用療法が比較された。afatinib群ではafatinibを毎日40mg投与し、PC群では21日毎にペメトレキセド500mg/m2とシスプラチン75mg/m2を投与し、6サイクルまで施行した。

 主要評価項目である中央独立審査によるPFSは、今年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)で発表され、PFS中央値はafatinib群11.1カ月、PC群6.9カ月、ハザード比0.58(95%信頼区間:0.43−0.78)となり、afatinib群で有意に延長した(p=0.0004)。EGFR遺伝子変異の多数を占めたのはエクソン19の欠失変異を有する患者(170人、49%)とエクソン21のL858R変異を有する患者(138人、40%)で、これら308人のPFS中央値は、afatinib群13.6カ月、PC群6.9カ月、ハザード比0.47(95%信頼区間:0.34−0.65)となり、より高い延長効果が認められた(p<0.0001)。

 今回はさらにサブグループ解析を進めた結果が発表された。

 対象のうち、アジア人は249人で72%を占め、非アジア人は96人だった。エクソン19の欠失変異またはエクソン21のL858R変異を有する患者308人中、アジア人は224人、非アジア人は84人だった。中央独立審査によるPFS中央値は、アジア人のafatinib群で13.6カ月、PC群で6.9カ月、ハザード比は0.44となり、有意にafatinib群で延長した(p<0.0001)。非アジア人ではそれぞれ11.8カ月と5.8カ月、ハザード比は0.59となり、有意差には至らなかった(p=0.084)。
 
 一方、治験担当医師によるPFS中央値は、アジア人のafatinib群で13.6カ月、PC群で6.9カ月、ハザード比は0.37(p<0.0001)で中央独立審査と同様の判定となったが、非アジア人ではそれぞれ11.1カ月と5.3カ月、ハザード比は0.52となり、有意差がみられた(p=0.028)。

 afatinibの安全性プロファイルは過去の臨床試験と一致していたが、有害事象の発現は、アジア人と比べて非アジア人でやや軽度となる傾向がみられた。アジア人に多く発現したafatinibによる有害事象(全グレード)は、下痢96%、発疹/ざ瘡91%、口内炎/粘膜炎85%、爪周囲炎65%、乾燥皮膚33%、食欲低下(26%)などだった。非アジア人ではそれぞれ94%、84%、39%、36%、19%、6%に発現した。

 ペメトレキセド+シスプラチンによる有害事象も人種による違いがみられ、アジア人に多く発現したのは、悪心66%、食欲低下64%、嘔吐48%、疲労感45%、好中球減少34%、貧血30%などだった。非アジア人ではそれぞれ65%、26%、29%、52%、26%、23%に発現した。

 また、肺癌に関連する症状の悪化までの期間は、全対象ではPC群と比べてafatinib群で延長したが、エクソン19の欠失変異またはエクソン21のL858R変異を有する患者ではより高い延長効果が認められた。これらの変異を有する患者では、咳(ハザード比0.52、p=0.0016)、呼吸困難(ハザード比0.55、p<0.001)、疼痛(ハザード比0.75、p=0.065)のいずれも、全対象における結果(ハザード比はそれぞれ0.60、0.68、0.83)を上回った。

 Sequist氏は「afatinibはEGFR遺伝子変異陽性のNSCLC患者に対するファーストライン治療の選択肢の1つとなる」と話した。