スイスNovartis社は8月28日、JAK阻害剤であるruxolitinib(INC424、欧州における製品名はJakavi)が、原発性骨髄線維症(慢性特発性骨髄線維症)、真性多血症後の骨髄線維症、または本態性血小板血症後の骨髄線維症の成人患者における脾腫または諸症状の治療薬として、欧州委員会により承認されたと発表した。これによりruxolitinibは欧州で承認された初めての骨髄線維症の治療薬となった。

 骨髄線維症は原発性と二次性に分けられ、原発性骨髄線維症は慢性骨髄増殖性疾患のひとつ。骨髄不全や脾腫のほか、極度の疲労感や発熱、寝汗、掻痒感などの症状を伴い、QOL低下や体重減少が特徴とされる。骨髄線維症患者の生存期間中央値は5.7年と報告されている。造血幹細胞移植によって治癒が可能だが、移植は若年者が対象であり、有効な治療法が求められていた。

 ruxolitinibは、JAK1とJAK2チロシンキナーゼを選択的に阻害する薬剤。骨髄線維症はJAKシグナル伝達経路の過剰な活性化が関与しており、原発性骨髄線維症患者の約半数にJAK2遺伝子のV617F変異が見られる。

 今回の承認はCOMFORT (COntrolled MyeloFibrosis Study with ORal JAK Inhibitor Therapy) 試験プログラム(COMFORT-I 試験、COMFORT-II試験)の結果に基づく。

 COMFORT-I 試験では、治療開始から24週時点で、脾臓体積がruxolitinib群では患者の41.9%で35%以上縮小したが、プラセボ群では0.7%だった(p<0.001)。51週時点で、生存改善効果も認められた(ハザード比0.50、95%信頼区間:0.25-0.98)。

 最も多く報告されたグレード3以上の有害事象は血液毒性で、各群1人がそれぞれ血小板減少と貧血で試験を中止した。主な非血液毒性は、疲労(ruxolitinib群が25%、プラセボ群が34%)、下痢(同23%、21%)、末梢浮腫(同19%、22%)、斑状出血(同19%、9%)だった。

 COMFORT-II試験では、治療開始から48週時点で、ruxolitinib群では患者の28%で35%以上の脾臓の縮小がみられたが、対照群であるbest available therapy(BAT)群では0%だった(p<0.001)。また副次評価項目である治療開始から24週時点でも、ruxolitinib群では患者の32%で35%以上の脾臓の縮小がみられた(p<0.001)。またruxolitinib群では、いずれの評価時点でもBAT群に比べて骨髄線維症の症状は改善していた。

 ruxolitinib群の毒性はBAT群に比べて強くはないが、貧血と血小板減少の頻度は高かった。主な重篤な有害事象(SAE)は貧血で、ruxolitinib群が5%、BAT群が4%だった。肺炎がruxolitinib群で1%、BAT群では5%に見られた。またruxolitinib群では治療の継続により、生活の質や身体機能、食欲低下や呼吸困難、疲労、不眠、痛み等の症状に顕著な改善が見られた。