スイスHoffmann-La Roche社は8月27日、トラスツズマブDM1(T-DM1)が、HER2陽性の転移性乳癌患者を対象としたフェーズ3試験EMILIAで主要評価項目の1つである全生存期間(OS)を有意に延長できたことが明らかとなったと発表した。

 T-DM1は、抗HER2モノクローナル抗体のトラスツズマブと微小管重合体阻害剤誘導体のDM1を結合させた抗体-薬剤複合体。米国ではすでに申請中で、欧州でも近く申請予定。日本は来年前半の申請が期待されている。

 国際ランダム化オープンラベル試験であるEMILIAは、T-DM1の初めてのランダム化フェーズ3試験。すでにトラスツズマブとタキサン系抗癌剤による治療の経験があるHER2陽性転移性乳癌患者991人を対象に、T-DM1を投与する群とラパチニブとカペシタビンを併用する群を比較した。T-DM1は3週おきに3.6 mg/kgが投与された。併用群はラパチニブを毎日1250mg、カペシタビンを3週間1サイクルとして1日目から14日目まで毎日2000 mg/m2投与された。

 主要評価項目の1つである無増悪生存期間がT-DM1群で有意に延長できることは、今年の米国臨床腫瘍学会(ASCO2012)で発表されている。PFS中央値は、T-DM1群9.6カ月、XL群6.4カ月、ハザード比0.650(95%信頼区間:0.55-0.77)となり、T-DM1群で有意に改善した(p<0.0001)。PFSは試験担当医師の判定でも一致した結果で、ハザード比は0.658(同:0.56-0.77)だった(p<0.0001)。サブグループ解析でも、65歳以上を除くすべての群でT-DM1群が良好だった。

 T-DM1に関しては他に2件のフェーズ3試験が進められている。1つは、HER2陽性転移性乳癌に対するファーストラインとして、T-DM1のみ、T-DM1と pertuzumab併用、トラスツズマブとタキサン系抗癌剤の併用を比較するフェーズ3試験MARIANNE。もう1つは、トラスツズマブとラパチニブの両方の投与経験のあるHER2陽性転移性乳癌に対して、医師の選択治療とT-DM1を比較するTH3RESAだ。