スイスNovartis社は、2012年7月30日、欧州でエベロリムス(商品名「アフィニトール」)をエキセメスタンと共に、最も一般的な進行乳癌の患者に投与することが認められたと発表した。

 欧州委員会は、ホルモン受容体陽性(HR+)でHER2陰性(HER2−)の進行乳癌患者で、非ステロイド系のアロマターゼ阻害薬を使用中または使用後に再発もしくは進行した閉経女性に、エベロリムスとエキセメスタンを併用することを承認した。

 承認は724人の患者を登録した二重盲検の多施設無作為化フェーズ3試験BOLERO-2の結果に基づく。得られたデータは、エベロリムス+エキセメスタン投与群の無増悪生存期間が、エキセメスタンのみを投与された患者群より有意に長いことを示した。治験医師による評価では、無増悪生存期間の中央値は7.8カ月と3.2カ月で、ハザード比は0.45(95%信頼区間:0.38-0.54、p<0.0001)になり、独立した中央画像判定機関の分析ではそれぞれ11.0カ月と4.1カ月で、ハザード比は0.38(同:0.31-0.48、p<0.0001)になった。

 全体の2%以上の患者に見られたグレード3-4の有害事象は、口内炎、感染、高血糖症、疲労感、呼吸困難、肺炎、下痢だった。

 HR+の進行乳癌患者にとって、ホルモン療法は治療の選択肢として非常に重要だが、継続的に使用しているうちに患者の多くが治療抵抗性を示すようになる。抵抗性獲得にはPI3K/AKT/mTOR経路の活性化が関与することが知られている。mTOR阻害薬であるエベロリムスは、ホルモン療法の効果を高めると考えられている。乳癌を適応として承認されたmTOR阻害薬はこれが初めてだ。

 欧州委員会に先駆けて米食品医薬品局(FDA)は、2012年7月20日、HR+/HER2−の乳癌で、レトロゾールまたはアナストロゾールが奏効しなかった患者に、エベロリムスをエキセメスタンと併用することを承認した。同様の申請は世界各国で提出されている。また、HER2+乳癌の患者にエベロリムスを適用する2件のフェーズ3試験が現在進行中だ。

 エベロリムスは、世界の80を超える国で進行腎細胞癌の治療に用いられている。さらに一部の先進国では、局所進行型で転移性または切除不能の膵原発の神経内分泌腫瘍患者にも適用されている。