進行肝細胞癌に対するソラフェニブの国際共同非介入試験であるGIDEON試験の中間解析の結果から、TACE歴の有無にかかわらず、ソラフェニブの安全性に差はなく、有効である可能性が示された。7月20日から金沢市で開催された第48回日本肝癌研究会で、日本大学消化器外科の高山忠利氏が発表した。

 GIDEON試験は、ソラフェニブが投与された肝細胞癌患者を対象とした国際共同前向き非介入試験。世界39カ国から378施設が参加しており、日本からは40施設が参加している。2011年4月に登録が終了しており、世界で3382例、日本からは517例が登録された。主要評価項目は安全性で、副次評価項目として有効性や治療期間などが設定されている。

 2010年7月までに登録された症例は世界で1650例、日本からは164例。第2回中間解析の評価対象症例数は、日本人では161例だった。

 ソラフェニブ投与開始前治療歴は、世界では外科切除19%、RFAが15%、PEIが4%、TACEが46%、HAIが5%、その他の非全身治療が3%、全身化学療法が5%だった。日本では、外科手術40%、RFAが38%、PEIが14%、TACEが76%、HAIが19%、その他の非全身治療が9%、全身化学療法が15%で、日本では集学的治療が行われていることが示された。

 また、TACE施行回数は、世界(N=722)では1回が40%と最も多く、2回21%、3〜5回が27%だったが、日本(N=122)では1回が19%、2回が15%、3〜5回が43%、6回以上が23%と、複数回施行されている例が多かった。

 また、TACEの使用薬剤としては、世界ではドキソルビシンが48%と最も多かったが、日本ではエピルビシンが82%と最も多く、次いでシスプラチン23%、マイトマイシン15%、ドキソルビシン8%だった。

 アジア人の進行肝細胞癌を対象にソラフェニブの有効性を検討したAsia Pacific試験では、プラセボ群の全生存期間(OS)中央値が4.2カ月だったのに対し、ソラフェニブ群は6.5カ月と有意に延長していた。そのサブ解析で、前治療としてTACE/TAEを施行したグループではプラセボ群5.1カ月に対してソラフェニブ群7.3カ月、そしてTACE/TAE非施行グループでもプラセボ群3.8カ月に対してソラフェニブ群6.5カ月で、TACE/TAEの施行の有無にかかわらずソラフェニブによる生存期間の延長が見られている。

 今回、高山氏は、ソラフェニブ投与開始前に最も行われていたTACEについて、日本人でもAsia-Pacific試験におけるTACE施行歴による層別解析の結果と同様の結果が得られるかどうかを評価した結果を報告した。

 日本人登録患者161例の患者背景は、TACE施行歴あり(N=122)、TACE施行歴なし(N=39)について、年齢(中央値)はそれぞれ70歳、64歳、PSは0が75%、69%、PS 1がそれぞれ25%、31%、投与開始時のChild Pugh Aがそれぞれ82%、92%だった。

 初回診断時のTMN分類では、TAE施行歴なし群ではステージIVが33%だったのに対し、TACE施行歴あり群ではステージIVが8%。ソラフェニブ投与開始時にはTACE施行歴なし群のステージIVは74%、TACE施行歴あり群ではステージIVが40%だった。門脈腫瘍栓合併例はTACE施行歴なし群で33%、TACE施行歴あり群で26%。初回診断からソラフェニブ投与開始までの期間(中央値)はTACE施行歴なし群が2カ月だったのに対し、TACE施行歴あり群では40カ月だった。

 ソラフェニブ投与状況は、投与開始用量(1日量)は400mgがTACE施行歴あり群37%、なし群33%、800mgがあり群62%、なし群64%だった。1日平均投与量(中央値)はTACE施行あり群が469mg、なし群が561mg。投与期間中央値はTACE施行あり群が15.0週に対し、TACE施行歴なし群は9.0週だった。

 有害事象については、TACE施行歴の有無で発現率に大きな差は見られなかった。なお、個別の有害事象では、薬剤関連性肝機能障害はTACE施行歴あり群で10%、なし群で5%、薬剤関連性の重篤な肝機能障害はあり群で6%、なし群で3%、投与中止に至る肝機能障害はあり群で10%、なし群で3%だった。

 今回の第2回中間解析における日本人OS(中央値)の結果は、TACE施行歴なし群で8.3カ月、TACE施行歴あり群で10.4カ月。Asia-Pacific試験のサブ解析におけるTACE/TAE施行歴あり/なし群のソラフェニブ群のOSを各々2〜3か月上回る結果であり、Asia-Pacific試験におけるTACE施行歴による層別解析の結果と同様の傾向が見られた。

 これらの結果から高山氏は、TACE施行歴の有無にかかわらずソラフェニブの安全性に大きな差はなく、ソラフェニブは有効である可能性があるとした。また、今回の検討は中間解析であり、今後最終解析にて更なる検討が必要であることと、今後明らかにしていくべきこととしてTACE後のソラフェニブ導入のタイミングがあり、今回の結果はそのベースとなるデータであると締めくくった。