転移性腎細胞癌患者へのmTOR阻害剤投与中の血清KL-6値の評価により、画像所見や臨床症状のない間質性肺炎を早期に見つけ出だせる可能性が示された。東京女子医科大学病院腎センター泌尿器科の若松太郎氏が、7月22日に東京都内で開催された第43回腎癌研究会で発表した。

 mTOR阻害剤の有害事象の1つとして間質性肺炎がある。間質性肺炎を発症すると、投与量を減少、中止する必要があるが、重症化すると死に至るケースもあるため、早期発見、治療が求められている。

 そこで若松氏らは、間質性肺炎を予測する因子として、血清KL-6に注目し、予測マーカーとしての有用性を検討した。KL-6は、MUC1ムチンに属するシアル化糖鎖抗原のことで、間質性肺炎患者ではその値が上昇することが報告されている。

 解析の対象は、2010年6月から2012年3月に同科で観察を行った転移性腎細胞癌患者35人。エベロリムス投与例が17人、テムシロリムス投与例が18人だった。mTOR阻害剤投与開始前と投与中に、血清KL-6を測定した。35人の対象患者のほとんどがMSKCCリスク分類でのIntermediateリスクで、計9人がpoorリスクだった。

 mTOR阻害剤投与期間中に間質性肺炎症状が確認された患者数は、エベロリムス投与例で6例、テムシロリムス投与例で4例だった。

 mTOR阻害剤投与中に間質性肺炎を起こした患者の血清KL-6値を確認したところ、どの症例においても投与前に比べて投与中は血清KL-6値が上昇する傾向が見られた。

 また、mTOR阻害剤を減量、中止するに至った症例では、血清KL-6値が正常範囲(500U/mL)を超えて上昇した。

 一方、mTOR阻害剤を休薬すると、多くの患者で血清KL-6値が低下した。

 さらに、画像所見と血清KL-6値との間に相関関係が見られないケースが散見された。ある患者では、画像上で間質性肺炎を認めなかったが、咳・息切れなどの臨床症状からグレード2と診断。mTOR阻害剤を休薬したところ、血清KL-6値が減少したが、画像診断上の変化はなかった。

 若松氏らの施設では、mTOR阻害剤投与中の患者に対しては2〜4週間おきに血清KL-6を測定するようにしている。

 今回の結果から若松氏は、「血清KL-6値を測定することで、画像所見や臨床症状が正常もしくは軽微であっても間質性肺炎を疑うことができ、早期治療につなげられる可能性がある」と指摘した。また、血清KL-6値と画像所見を組み合わせて薬剤の減量を行えば、mTOR阻害剤の長期投与も可能になるのではないかと提案した。なお、今回の発表は症例数が少ないため、今後さらなる検討が必要とした。