進行肝細胞癌におけるシスプラチン感受性の予測因子としてAPM2が有効である可能性が示された。新潟大学消化器内科学分野の上村顕也氏、須田剛士氏、青柳豊氏らの研究結果を7月20日から金沢市で開催された第48回日本肝癌研究会で上村氏が発表した。

 シスプラチンは進行肝細胞癌に対する治療の選択肢の1つだが、シスプラチンの肝動注に抵抗性を示す症例は少なくない。そのため上村氏らは、進行肝細胞癌の患者さんに対する、より安全で効果的な治療法の選択を可能とするために、シスプラチン感受性に関するバイオマーカーの探索を行った。

 探索にあたり、バイオマーカーの候補として、アンドロゲン抵抗性前立腺癌や予後不良の乳癌、膵癌やシスプラチン抵抗性胃癌において高発現していることが知られているAPM2(adipose most abundant 2)に注目した。

 ELISA法による解析を行ったのは、シスプラチンの肝動注療法を行い、効果判定が可能であった71例の血液試料である。さらにそのなかで、外科的切除が行われた13例の腫瘍部および非腫瘍部の肝組織に対して免疫染色を行った。上記71例のシスプラチン肝動注の効果は部分奏効(PR)27例、病勢安定(SD)19例、病勢進行(PD)が25例であった。

 血液試料に対するELISA法による解析の結果、PR, SD例の血中APM2濃度に対し、PD例では統計学的に有意にその濃度が高かった。

 また、免疫組織染色による検討の結果、PR例、SD例に比べて、PD例の肝細胞癌腫瘍部では染色性が強く、APM2の発現亢進が示された。

 これらの結果から上村氏らは、シスプラチンを用いた肝細胞癌治療において、血中、腫瘍部でのAPM2高発現は治療抵抗性を示唆し、血清APM2濃度がシスプラチンに対する感受性の予測因子として有効である可能性があるとし、より多くの症例を対象として評価を進めたいとした。