透析腎癌は散発腎癌と比べて予後が良好とされているが、ステージ別での解析では両者の間に有意差は見られないことが示された。一方、透析期間が15年以上の患者は予後不良だったことから、東京女子医科大学泌尿器科の飯塚淳平氏は、「特に長期透析患者では、慎重な治療と経過観察が必要」と指摘した。7月22日に東京都内で開催された第43回腎癌研究会で発表した。

 透析期間が長期化すると、腎細胞が嚢胞化し、透析腎癌が発生することが知られる。透析腎癌は散発腎癌と比べて予後が良いという報告がいくつか存在するが、一定の見解には至っていない。

 そこで飯塚氏らは、透析腎癌患者の臨床的特徴と予後を明らかにするため、散発腎癌患者と比較検討した。

 対象は、1973年1月から2011年6月までに同科で腎摘出した腎細胞癌患者1651人。このうち、透析腎癌は305人、散発腎癌は1346人。術前の平均透析期間は170±95カ月だった。

 両群の患者背景を比較すると、透析腎癌群は、散発腎癌群と比べ、有意に若い(55.5 歳 対 59.5歳)、腫瘍径が小さい(40mm 対 52mm)、乳頭状腎癌の割合が高い(19% 対 4.5%)、癌死患者割合が低い(9% 対 15%)、T分類が2以下の割合が高い(90.1% 対 77.4%)などの特徴があった。 

 ステージIの患者割合は、透析腎癌患者が79%、散発腎癌が64%で、透析腎癌患者ではステージが低い患者が多かった。

 5年癌特異的生存率を見ると、透析腎癌群が89.0%だったのに対し、散発腎癌群は83.9%で、透析腎癌群で有意に生存率が高かった。

 しかし、ステージ別に5年癌特異的生存率を解析すると、いずれのステージにおいても両群間に有意差は見られなかった。

 なお、透析期間が15年を超える患者の5年癌特異的生存率は80.8%で、15年以下の患者の94.3%と比べ、有意に予後が不良だった。透析期間が15年を超える患者では、有意に腫瘍径が大きく、乳頭状腎癌やグレード3、ステージIII・IVの患者の割合が高いなどの特徴が確認された。

 癌特異的生存率に影響を与える有意な因子について多変量解析を行った結果、ステージIII・IV(ハザード比6.50)、腫瘍サイズ(同6.22)、遠隔転移あり(同4.67)などが抽出されたが、透析腎癌は有意な因子ではなかった。

 これらの結果から飯塚氏は、「透析腎癌患者の予後がよいと言われた背景には、散発腎癌に比べ、ステージIの割合が高かったことがあると考えられる」と語った。一方で透析期間が15年以上の患者は予後が不良であったことから、特に長期透析患者では慎重な治療と経過観察が必要だと指摘した。