米OncoSec Medical社は、電気穿孔法とインターロイキン-12を併せた独自の免疫療法を用い、メルケル細胞癌を対象としたフェーズ2試験(OMS-I110)を今年1月に開始した。シアトルのワシントン大学に次いで、この度新たにカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)医療センターも試験実施施設に加わることが発表された。

 オープンラベル、シングルアームのOMS-I110試験では、限局性/転移性メルケル細胞癌患者を最高15人登録する。ベースライン時、および初回IL-12注射を受けてから2-4週間後の時点で、腫瘍および辺縁の微小環境におけるIL-12発現を比較し、IL-12の増加による患者の臨床および生物学的効果を主要エンドポイントとして評価する。

 この試験で用いられる電気穿孔法(エレクトロポレーション)とは、腫瘍組織に電気振動を与えることにより細胞膜の微小な穴を開かせ、薬効成分を高率で細胞内に透過させる技術だ。

 同社が開発したOncoSec メディカル・システム(OMS)は電気振動を発生させる装置で、付属のアプリケーターの末端にある6本の針を通して電気刺激を体内に送る。通常、免疫刺激物質や抗癌剤と組み合わせて、それらの効果の増強を狙う手法で、細胞への透過率は平常の1000倍以上とのデータも示されている。開いた穴は、電気振動が中止されると数分で自然に閉じる。

 IL-12は、白血球から分泌される免疫活性を有するサイトカインであり、血漿中のマクロファージや細胞障害性T細胞、NK細胞などを増加および活性化させる。

 この試験で注入するIL-12は、IL-12の産生を促進するようDNAにコードしたもの(DNA IL-12)。これをOMSにより大量に癌細胞に取り込ませると、腫瘍の微小環境のIL-12発現が亢進し、免疫応答が惹起されると予測されている。また、局所のみでなく、全身の免疫応答をも刺激することから遠隔転移にも有効な可能性があるという。

 OMS-I110試験は、メラノーマ、皮膚T細胞リンパ腫対象の試験に続き、3番目のフェーズ2試験となる。メラノーマ対象のフェーズ1試験では、遠隔転移を伴うメラノーマ患者の53%で客観的奏効(うち完全奏効は16%)を認め、その安全性と忍容性も確認済みだ。

 メルケル細胞癌は、悪性度が高くまれな皮膚癌で、皮膚や皮膚表面下や毛包などに発生する。米国では1年に約1500人が罹患する。メルケル細胞ポリオーマウイルスが主な原因とみられ、免疫療法アプローチは有望な治療選択肢の1つになりうると期待される。