米Pfizer社は2012年6月19日、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)融合遺伝子陽性の進行した非小細胞肺癌(NSCLC)で治療歴のある患者にクリゾチニブを適用した初めてのフェーズ3試験、PROFILE 1007で、主要エンドポイントを達成したと発表した。

 標準的な化学療法(ペメトレキセドまたはドセタキセル)が用いられた対照群に比べ、介入群の無増悪生存期間は有意に長かったという。両群に見られた有害事象はこれまでに報告されていたものと同様だった。有効性と安全性に関する詳細なデータは近々学会発表される予定だ。

 クリゾチニブは米食品医薬品局(FDA)の迅速承認により、局所進行型または転移性のNSCLCで、FDAが承認した検査法によりALK融合遺伝子陽性と判定された患者の治療に用いることが許可された。承認は客観的奏効率に基づくものであるため、Pfizer社は現在、生存その他に関するクリゾチニブの利益を示すための臨床試験を進めている。

 オープンラベルの無作為化フェーズ3試験、PROFILE 1014は、治療歴の無いALK融合遺伝子陽性進行NSCLC患者に、クリゾチニブと、ペメトレキセドとシスプラチンまたはカルボプラチンを併用する治療の有効性と安全性を評価している。やはりオープンラベルで行われているシングルアームのフェーズ2試験、PROFILE 1005は、複数の治療が奏効しなかったALK融合遺伝子陽性進行NSCLC患者が対象になっている。

 ALK融合遺伝子とは、EML4(Echinoderm Microtubule associated protein-Like4)遺伝子とALK(Anaplastic Lymphoma Kinase)遺伝子が染色体転座により融合したもので、NSCLCのような癌の増殖に重要な役割を果たすと見なされている。ALK融合遺伝子は、非扁平上皮細胞癌の患者や、喫煙歴なし、またはライトスモーカーの人々に、より高率に認められることが知られているが、喫煙者や扁平上皮細胞癌患者にも見られる。ALK遺伝子の変化は、年齢、性別、人種、喫煙歴などに関わりなく生じる可能性が考えられている。

 クリゾチニブは、癌の増殖と生存に必須と考えられている複数の信号伝達経路を遮断する。これにより病勢安定や腫瘍の縮小が生じると期待されている。クリゾチニブには、肝細胞増殖因子受容体で原癌遺伝子であるc-METのチロシンキナーゼを阻害する効果もあることが示されており、現在積極的な研究が進められている。さらに、進行NSCLC対象フェーズ1試験において、ROS-1受容体チロシンキナーゼ遺伝子の染色体転座が認められた患者にも有効であることが示され、この患者集団を対象とする研究も進行中だ。 

 クリゾチニブは日本でも、ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌を対象に承認を得ている。