進行肝細胞癌に対するソラフェニブ投与開始から8週後のAFP値20%以上減少は、進行までの期間延長の予測因子である可能性が示された。6月8日から金沢市で開催された第48回日本肝臓学会総会で、京都市立病院消化器内科の桐島寿彦氏が発表した。

 桐島氏らは、進行肝細胞癌に対するソラフェニブ投与の際の生存に寄与する因子を検討するため、2012年3月までに京都府立医科大学とその関連施設からなる京都肝癌分子標的治療研究グループに登録した144例を対象に、mRECISTで評価する抗腫瘍効果、進行までの期間(TTP)、生存期間(OS)について検討した。

 144例の患者背景は、男性118例、年齢71歳(中央値)、ECOG PSが0は109例、1は33例。背景肝はHCVが82例、HBVが26例、アルコール性が21例、NASHが7例、その他10例だった。Child-Pugh Aが137例で、Child-Pughスコアは5点が99例、6点が38例だった。登録時AFP中央値は129ng/mL、登録時PIVKA-II中央値は1050mAU/mL、腫瘍個数は4個以上が100例、最大腫瘍径の中央値は4.0cm、脈管浸潤陽性は41例、肝外転移陽性は58例。前治療ありが120例で、TACEが107例、RFA+PEITが56例、手術が41例、リザーバー動注が33例だった。TACE不応例は74例、後治療を行ったのは52例。

 初回投与量について検討した結果、800mgを投与したのは66.7%、600mgが3.5%、400mgが26.4%だった。

 総投与期間について検討した結果、4週未満が16.0%、4週から8週間が21.5%、8週から20週間が27.1%、20週から28週間が10.4%、28週超が25%だった。投与期間中央値は11.4週(範囲:1-120週)だった。

 抗腫瘍効果について検討した結果、完全奏効は2例、部分奏効は18例、病勢安定は26例、病勢進行は62例で、客観的奏効率は18.8%、病勢コントロール率は43%だった。

 進行までの期間中央値は3.5カ月、生存期間中央値は10.8カ月だった。

 次に、治療前AFP値が20ng/mL超の症例で、治療前と8週間後のAFP減少率を評価できた58例を対象に、AFPが20%以上減少したAFPレスポンダーとAFP減少が20%未満だったAFPノンレスポンダーに分けて治療効果や生存に寄与する因子の検討を行った。

 その結果、進行までの期間中央値は、AFPノンレスポンダーが3.6カ月だったのに対し、AFPレスポンダーは5.3カ月で、ハザード比0.47(p=0.02)と有意に延長していた。生存期間については、AFPノンレスポンダーが9.1カ月だったのに対し、AFPノンレスポンダーは11.6カ月で、p=0.06と有意な差ではなかったが、ハザード比0.48と延長する傾向にあった。

 生存に寄与する因子について、多変量解析を行った結果、手足症候群がハザード比0.591(95%信頼区間:0.368-0.950、p=0.030)、総投与期間がハザード比0.989(同:0.985-0.994、p<0.001)で、予後改善因子として見出された。なお、平均投与量についてはハザード比1.004(同:1.001-1.006、p=0.016)となり、死亡リスクを上昇させる可能性が示唆された。

 桐島氏は、奏効例は長期投与する中で有害事象により減量することもあり、平均投与量は低下するが、非奏効例は減量されるケースが少なく結果として平均投与量が多くなることが考えられ、治療効果と有害事象との関連について今後詳細な検討が必要と語った。