スイスRoche社は、2012年6月11日、米食品医薬品局(FDA)が、抗HER2抗体製剤pertuzumab(商品名「Perjeta」)の乳癌治療への適用を承認したと発表した。トラスツズマブ+ドセタキセルとともに、HER2陽性の転移性乳癌患者で抗HER2療法歴と化学療法歴がない女性に用いることが可能になった。

 承認はフェーズIII試験CLEOPATRA で得られた好結果に基づく。世界19カ国で、HER2陽性で転移性の乳癌または局所再発した切除不能乳癌の患者808人を登録し、pertuzumab+トラスツズマブ+ドセタキセル(402人)もしくは偽薬+トラスツズマブ+ドセタキセル(406人)に割り付けた。試験の主要評価指標は無増悪生存期間(PFS)に設定されていた。

 独立した審査委員会の評価は、pertuzumab群のPFSが18.5カ月、偽薬群は12.4カ月となり、前者のほうが6.1カ月長かった。ハザード比は0.62(95%信頼区間:0.51-0.75)になった。治療歴のない患者に限定すると、pertuzumab群が21.6カ月、プラセボ群は12.6カ月で、ハザード比は0.60(同:0.43-0.83)だった。有害事象として多く見られたのは、下痢、脱毛、白血球減少症、悪心、疲労感、発疹、末梢神経障害などだった。

 トラスツズマブとpertuzumabはいずれもHER2を標的とする抗体製剤だが、結合部位は全く異なるため、補完的な作用を持つと考えられている。pertuzumabは受容体の2量体化を阻害することによりシグナル伝達を阻止する。

 FDAによる承認に際し、同社は、市販後にこの製品の製造工程に関連するFDAの要求に応えることを約束している。同社は先に、pertuzumabの供給に影響を及ぼす可能性が否定できない細胞増殖にかかわる問題を工程の中に発見しており、安定した生産を確実に行うべく、FDAと協議を重ねてきた。同社は、今後行われる複数回の製造に関するデータをFDAに提出し、審査を受けることになっている。

 同社は欧州医薬品庁(EMA)にも、治療歴のないHER2陽性の転移性乳癌患者と局所再発した切除不能の乳癌患者にハーセプチン+ドセタキセルとpertuzumabを併用するための市販許可申請を提出済みだ。