転移性腎細胞癌(mRCC)に対して、原発巣を摘除し腫瘍細胞を減少させ免疫の賦活化を期待する腎摘除術(cytoreductive nephrectomy、CN)を行った後の生存期間について、3種類にリスク分類ができる3個の因子が明らかとなった。レトロスペクティブな観察研究の結果、示されたもの。成果は5月19日から23日にアトランタで開催された米国泌尿器科学会(AUA)で、北海道大学の篠原信雄氏によって発表された。

 篠原氏らは、1995年から2005年の間に20の病院で、最初の診断時に転移(M1)があり治療を受けた256人について解析した。261人のうち165人はCNを受けたが、91人は種々の理由で受けていなかった。CNを受けた165人のうち、男性は125人(76%)、年齢中央値は63歳(32−82)、ECOG PSが1以上が84人(51%)、TステージはT3、4が99人(60%)、転移個数が2個以上は62人(38%)、転移部位は肺が116人(70%)、骨が57人(35%)、リンパ節が27人(16%)、肝臓が16人(10%)だった。薬物治療はインターフェロンαを受けた人が137人(83%)。観察期間中央値は21カ月(2-177)。

 解析の結果、CNを受けた患者の全生存期間中央値は25カ月だったのに対して、受けなかった患者は7カ月だった。CNを受けた165人のデータを単変量解析、多変量解析した結果、全生存期間(OS)に関連する術前の独立した因子として肝転移の存在、C反応性たんぱく質(CRP)が0.3?/dL超、corrected Ca(血清アルブミンが正常であると仮定した場合の血清Ca濃度)が10?/dL超―の3因子が見つかった。

 これらのリスク因子の保有数でCNを受けた患者を分けると、0個(良好リスク群)は29人(23%)でOS中央値は48カ月、2年生存率は81%(95%信頼区間:67-96)、1個(中間リスク群)は77人(62%)でOS中央値は22カ月、2年生存率は48%(95%信頼区間:36-59)、2個の16人(13%)と3個の2人(2%)は不良リスク群でOS中央値は11カ月、2年生存率は18%(95%信頼区間:0-36)だった。

 CNを受けた不良リスク群の1年生存率は41%(95%信頼区間:18-65)で、CNを受けなかった群の26%(95%信頼区間:16-35)、p=0.094と有意な差はなく、不良リスク群はCNによる効果を受けられない群である可能性も明らかとなった。