PSA(前立腺特異抗原)値上昇に関連する4種類の遺伝子多型(1塩基多型、SNP)の保有数を調べることで、個別化したPSA検査が行え、前立腺バイオプシーの数を減少させられる可能性が示された。成果は5月19日から23日にアトランタで開催されている米国泌尿器科学会(AUA)で、米Northwestern UniversityのBrian T. Helfand氏によって発表された。

 血清中PSA値の上昇または減少に関連するSNPが4種類同定されている(5p15のTERT遺伝子にあるrs2736098、10q26のFGFR2遺伝子にあるrs10788160、12q24のTBX3遺伝子にあるrs11067228、19q13のKLK3遺伝子[PSAの遺伝子]にあるrs17632542)。

 今回の研究は4種類のSNPsの保有数によって、遺伝学的にPSA値が高くなる人のPSA検査で偽陽性が出ることを防ぎバイオプシーの回数を減らせる可能性があるか、または遺伝学的にPSA値が低くなる人の偽陰性を減らせる可能性があるかを調べるために行われた。

 人間はアレルを2つ持っているため、保有するSNPの数は0から8個と考えられる。Helfand氏らは2003年から2011年の間に健康な白色人種のボランティア964人について4種類のSNPの保有数を調べ、血中PSA値との関係を調べた。

 その結果、SNPの保有数の中央値は4個で、3個から5個のSNPを持っている人のPSAは本来の正常PSA値と差がないが、保有数が多くなるとPSA値は高まり、8個では補正のために110%減少させる必要があることが分かった。また逆に保有数が少なくなるとPSA値は低くなり、0個では38%増加させる必要があることが分かった。

 Helfand氏らはPSA値の補正のために、測定されたPSA値を遺伝子因子係数で割る方法を考え出した。例として、測定したPSA値が3.0ng/mLで8個のSNPを持っている人は遺伝子因子係数が2.1で、評価すべきPSA値は1.4ng/mLになると説明した。また測定したPSA値3.0ng/mLとなった人でSNPを1つも持っていない人の遺伝子因子係数は0.38で、評価すべきPSA値は7.9ng/mLになると説明した。

 米国ではバイオプシーを行う閾値として、2.5ng/mLと4.0ng/mLの場合がある。この調整方法を使うと、2.5ng/mLの場合バイオプシーの数が15%、偽陽性が18%、偽陰性が3%減少するという。4.0ng/mLの場合はバイオプシーの数が20%、偽陽性が22%、偽陰性が1.5%減少するという。

 米国では年間で前立腺のバイオプシーが100万回行われており、遺伝子型で調整するとバイオプシーの数は15万回から20万回減少するとした。

 研究グループは相対的に小規模な集団での解析であること、すべて白色人種であることなどの問題点があることを認めた上で、遺伝学的なPSA値の調整で不必要なバイオプシーの減少やバイオプシーを行う時期の遅れを減らせる可能性があるとした。