ゴナドトロピン放出ホルモン(Gonadotropin Releasing Hormone; GnRH)アンタゴニストであるdegarelixの前立腺癌に対する有効性と安全性が、日常診療でも確認された。ドイツの登録データの解析から示されたもので、5月19日から23日にアトランタで開催されている米国泌尿器科学会(AUA)でドイツIQUOのGotz Geiges氏によって発表された。

 degarelixは、GnRH受容体へのGnRHの結合を競争的に阻害することでテストステロンの産生を低下させ、前立腺癌の増殖を抑制する。欧米ではすでに承認されており、日本ではアステラス製薬が承認申請している。

 研究グループは、93施設から421人のdegarelixによる治療を受けた前立腺癌患者のデータを収集した。前治療、併用する薬剤、腫瘍のステージとグレード、アルカリフォスファターゼ(ALP)活性、前立腺の体積、テストステロン量、前立腺特異抗原(PSA)値、副作用のデータについて、24カ月までか治療を終了するまで収集した。

 患者背景は、腫瘍のステージが、ベースラインではT1が27.9%、T2が22.0%、T3が25.1%、T4が13.1%、Txが11.5%だった。遠隔転移が24.3%の患者に認められたが、35.8%の患者は遠隔転移はなく、不明は39.9%だった。グリーソンスコア7未満が20.1%、7が33.2%、7超が43.7%、不明が3.0%だった。ベースラインPSA中央値は12.8ng/mL。ホルモン療法歴があり、データが得られた60人のうち、テストステロンが去勢レベル超(0.5ng/mL超)だったのは41.7%だった。421人のうちホルモン療法歴があったのは192人で、アンドロゲン遮断療法のファーストラインとして多くdegarelixが使用されていた。
 
 70人(31.96%)の患者で副作用が認められ、主なものは、ほてり(5.93%)と接種部位の紅斑(8.22%)だった。紅斑の発現率は大規模試験の結果と比べて低かった。興味深いことに最後の記録では、ベースライン時よりも疼痛のある患者は20.9%減少し、背痛がある患者は58.8%減少した。

 ホルモン治療歴のある患者を含むベースラインでPSAが10ng/mL未満の患者(全体の45.8%)のうち、12カ月後にPSAが4ng/mL未満になったのは、83.3%だった。べースラインでPSAが50ng/mL超の患者(全体の25%程度)の患者でも、PSA値は速やかに減少した。degarelixの効果は他のアンドロゲン抑制療法に匹敵するものだった。

 62人の患者でALP活性が測定され、平均639.9 IU/Lが、2カ月後には108.7 IU/Lとなり、12カ月時点でも78.6 IU/Lに抑えられていた。ALPの抑制効果は大規模臨床試験でみられたものと一致した。経直腸超音波で測定したところ、前立腺体積はベースラインと比べて3カ月以内に平均41.8%減少していた。これも無作為化試験で報告されたデータと同等だった。

 研究グループは、degarelixは腫瘍量の多い患者や放射線療法を受ける前の術前ホルモン療法として特に有用だとしている。