膀胱全摘除術後の5年生存率は50〜60%にとどまっており、さらなる治療成績の向上が望まれている。しかし、膀胱全摘除術の予後予測因子についての検討は十分ではない。近年では、術後補助化学療法により予後が改善したとする報告があり、リンパ節転移陽性例への術後補助療法が考慮されるようになってきたが、一定の見解は得られていない。

 そこで、帝京大学泌尿器科の武藤智氏らは、膀胱全摘除術後の生存率に影響を与える予後予測因子の検討を行った。

 対象は、2003年5月以降に同科で膀胱全摘除術を実施した100例。年齢中央値は66歳(29〜80歳)。経過観察期間は26カ月(3〜106カ月)。全摘除術後の尿路変更術は、自排尿型代用膀胱が46例、回腸導管が47例、尿管皮膚ろうが4例、尿路変更なしが3例だった。郭清リンパ節個数中央値は6.5個(0〜25個)、陽性リンパ節個数中央値は0個(0〜13個)。組織型はPure UCが67%を占めた。リンパ節転移は、N0が76%、N1が7%、N2が9%、N3が2%、Nxが6%。T病期診断ではpT3が31.0%を占め、最も多かった。

 術前補助化学療法を施行したのは33%で、内訳はMVAC療法が7%、GC療法が7%、動注療法が20%。術後補助療法は29%で行い、内訳はMVAC療法が21%、GC療法が5%だった。

 その結果、膀胱全摘除後の5年無増悪生存率(PFS)は57.3%、5年生存率(OS)は56.8%だった。

 膀胱全摘除後の有意な予後因子を単変量解析で検討したところ、PFSでは組織型(pure UC)、pT(pT3以上)、結節転移の有無、脈管侵襲の有無、リンパ浸潤の有無が抽出された。OSでは、pT(pT3以上)、結節転移の有無、脈管侵襲の有無、リンパ浸潤の有無が抽出された。

 さらに、多変量解析を行ったところ、PFSでは有意差が見られなかったが、OSではリンパ節転移陽性のみが有意な予後因子だった(ハザード比2.29、p=0.046)。

 こうした結果から、術後補助療法が膀胱全摘除術の予後を改善するかを検討するため、術後補助療法を実施した群と未施行群に分けて解析したところ、5年無進展生存率と5年生存率に両群間で有意差は見られなかった。一方、リンパ節転移陽性症例に限ると、術後補助化学療法施行群の5年無進展生存率と全生存率は、未施行群と比べて有意に良好だった(ハザード比はそれぞれ7.04、5.71)。

 これらの結果から武藤氏は「リンパ節転移は膀胱全摘除術後の予後予測因子であり、リンパ節転移陽性症例に対する術後補助化学療法の有効性が示された」とした。

 また、今回の結果について、「膀胱全摘除術に対する術後補助療法で治療レジメン通り減量せずに投与できる患者は限られるため、選択バイアスが存在する。術後補助療法を実施したから予後が良いのか、術後補助療法を実施できた患者は予後が良好だったのかという点について、慎重な解釈が必要」と補足している。