2012年5月2日から開催された米国乳腺外科学会(ASBrS)の年次総会で、米Robert Wood Johnson 大学病院のPeter Beitsch氏らは、ASBrS MammoSite Registry Trialの結果を報告した。得られたデータは、乳房温存手術を受けた早期の乳癌患者に加速部分乳房照射(APBI)と呼ばれる小線源療法を適用した場合と、全乳房照射を行った場合の局所での乳癌コントロール率は少なくとも同様であることを示した。

 小線源療法は切除部位のみに放射線を照射し、全乳房照射は乳房全体に放射線を当てる治療で、乳房温存療法後の癌再発リスクは、全乳房照射後の患者では最初に癌が生じた領域に発生することが多いことが知られている。今回小線源療法を適用された女性では、再発は乳房の原発部位では少なく、それ以外の部分に多く発生することが明らかになった。著者らは、乳房全体の癌再発抑制効果においてはこれら2通りの照射方法に差は無いものの、原発部位の疾病コントロールは小線源療法の方が良好である可能性が示されたと述べている。

 ASBrS MammoSite Registry Trialは、2002年5月から2004年7月までにAPBIを受けた1449人の患者を97施設で登録し、中央値60カ月追跡した。登録患者の87%が浸潤性の乳癌で、残りの13%は非浸潤性乳管癌(DCIS)だった。

 追跡期間中に50人(3.5%)が同側の乳房に再発をみた。14人(1.1%)は原発部位に、36人(2.6%)はそれ以外の場所に再発があった。

 全乳房照射を受けた患者と小線源療法を受けた患者の感染性の合併症、非感染性合併症、疼痛レベル、生存率(全生存率、無病生存率、疾病特異的生存率)に差は無く、外見的にはいずれも優れた治療であると考えられた。

 著者らは、小線源療法の方が治療に要する時間が短く、正常組織に対する照射線量が低いなどの利点を持つことから、適切に患者を選べば安全で有効な治療になると述べている。

 一方、JAMA誌2012年5月2日号にMD Anderson癌センターのGrace Smith氏らが発表した論文は、小線源療法の方が転帰不良であると報告していた。こちらは、67歳以上の患者9万2735人の情報を得て、全乳房照射と小線源療法の転帰を後ろ向きに比較していた。

 対象となった患者のうちの7%が小線源療法、93%が全乳房照射を受けていた。5年間の追跡で、両群の患者の生存率は同様だったが、追跡期間中の乳房切除率は小線源療法群の方が高く(4%と2%)、感染性の合併症(16%と10%)、非感染性合併症(16%と9%)、疼痛(15%と12%)、乳房の脂肪壊死(8%と4%)、肋骨骨折(4.5%と3.6%)も小線源療法群に多く見られたという。

 これに対しBeitsch氏は、JAMA誌に掲載された研究はデータをメディケアの請求情報から得ており、正確な臨床像を把握するための情報源としては十分ではないこと、ハードエンドポイントは少なく、多くがソフトエンドポイントだったこと、評価指標に含まれていた合併症はいずれも、発生率にばらつきが多い事が知られていることなどの理由から、Smith氏らのデータのエビデンスとしての質に疑問を呈した。