米St. Jude小児研究病院をはじめとする欧米アジアの14医療機関の研究者たちが、急性リンパ芽球性白血病(ALL)に対する治療を受けた小児患者のうち、寛解導入療法が失敗に終わった患者のみを選んで適用された治療と転帰の関係を分析したところ、6歳未満の前駆B細胞性白血病患者でMLL遺伝子に異常のない小児では、化学療法を追加するだけで10年生存率は72%になり、骨髄移植を行った場合よりも転帰は良好であることが明らかになった。詳細は、2012年4月12日号のNEJM誌に報告された

 小児ALL患者に対する寛解導入療法の失敗はまれで、患者の2〜3%に留まる。しかし、それらの患者は高頻度に転帰不良となるため、骨髄移植などが行われてきた。しかし、導入療法失敗例の絶対数が少ないことから、どの治療が最善なのかを明らかにするためには、今回のような国際的な協力が必要だった。

 2000年12月までの15年間に診断され、14医療施設のいずれかで治療を受けた17歳以下のALL患者4万4017人のなかから、4-6週間の寛解導入療法により寛解に至らなかった1041人(2.4%)を追跡し、病気の特徴、適用された治療、転帰の関係を分析した。

 寛解導入失敗群の患者は、より年齢が高い、白血球数高値、T細胞性白血病、フィラデルフィア染色体陽性、11q23(MLL遺伝子)再構成陽性などといったハイリスクの特徴を多く持っており、中央値8.3年のデータを利用して推定した10年生存率は32%だった。

 転帰不良の予測因子は、10歳以上、T細胞性白血病、MLLの再構成陽性、導入療法終了時の骨髄細胞の25%以上が芽球、などだった。

 一方、前駆B細胞性白血病患者では、高二倍体(最頻染色体数が50本超)を示す白血病細胞が多いこと、年齢が1-5歳、などが転帰良好に関係していた。

 受けた治療と転帰の関係を調べたところ、6歳未満の前駆B細胞性白血病患者でMLL遺伝子に再構成が見られない場合には、化学療法のみでも10年生存率は72%だった。適合血縁ドナーからの移植を受けた患者では59%で、あらゆる移植を受けた患者群と化学療法群の差は有意だった(p=0.007)

 前駆B細胞性白血病でも6歳以上になると、化学療法の利益は低下し、10年生存率は35%、適合血縁ドナーからの移植群の生存率は59%になったが、これら両群の差は有意ではなかった(p=0.11)

 T細胞性白血病患者では血縁ドナー以外からの移植の10年生存率が45%、適合血縁ドナーからの移植では40%、化学療法のみでは26%で、あらゆる移植群と化学療法のみ群の差は有意にならなかった(p=0.06)。

 得られた結果は、寛解導入失敗群は不均質な集団であり、T細胞性白血病患者には骨髄移植が、前駆B細胞性白血病でハイリスク因子が見られない患者には化学療法が適していることを示唆した。