進行肝細胞癌(HCC)患者へのグリピカン3(GPC3)の部分ペプチドワクチン投与で、高頻度に特異的細胞傷害性T細胞(CTL)が誘導できた患者は、誘導できなかった患者よりも生存期間を延長できる可能性が示された。フェーズ1臨床試験の結果明らかとなったもの。成果は3月31日から4月4日にシカゴで開催された米国癌研究会議(AACR)で、国立がん研究センター東病院の澤田雄氏によって発表された。

 GPC3は、細胞膜表面上に存在する約60kDaの糖たんぱく質で、過剰に発現している肝細胞癌は予後が悪いことが知られている。中面氏らはHLA-24(A*2402)拘束性のペプチド(298番目から306番目までの9アミノ酸からなるペプチド)とHLA-A2(A*0201)拘束性のペプチド(144番目から152番目までの9アミノ酸からなるペプチド)がGPC3に対する細胞傷害性T細胞(CTL)を誘導できることを明らかにしていた。HLA-24を持つ日本人は60%で、HLA-A2を持つ日本人は40%だ。

 フェーズ1臨床試験は、同定したペプチドを進行肝細胞癌患者に皮内投与することで行われた。患者の持つHLAの型によって投与するペプチドを変えた。ワクチン投与は2週間おきに3回行われた。投与量は0.3mg、1.0mg、3.0mg、10mg、30mgの5段階に分けて行われた。33人の進行HCC患者が登録された。

 試験の結果、1人で部分奏効(PR)が認められ、19人が治療開始2カ月後に病勢安定(SD)となった。増悪までの時間(TTP)中央値は3.4カ月、全生存期間(OS)中央値は9.0カ月だった。

 免疫学的な反応を測定したところ、33人中30人でGPC3に対する特異的な細胞傷害性T細胞が誘導できていることを確認した。また末梢血単核球(PBMC)数50万個あたり50個以上特異的CTLを誘導できた患者(15人)とできなかった患者(18人)でOS中央値を調べたところ、誘導できた患者は12.2カ月、できなかった患者は8.5カ月だった(p=0.033)。澤田氏によると、腫瘍の大きさが誘導できる頻度と関連する傾向があるという。

 なおGPC部分ペプチドはすでに日本の製薬企業にライセンスされているという。