手術の前に短期間ラパチニブを投与することで、HER2陽性乳癌とHER2陰性乳癌の両方で腫瘍細胞の増殖能を低減させる可能性が示された。MAPLE(Molecular Antiproliferative Predictors of Lapatinib's Effects in breast cancer)試験の結果明らかとなったもの。成果は3月31日から4月4日にシカゴで開催されている米国癌研究会議(AACR)で、フランスInstitut Gustave RoussyのAlexandra F. Leary氏によって発表された。

 試験は、診断時にバイオプシーによって検体を採取した原発性乳癌患者を、手術前に10日から14日間ラパチニブ1500/m2を投与する群とプラセボを投与する群に無作為に分けることで行われた。2007年12月から2011年4月までに121人が参加したが3人が術後の検体が失われたため、解析から除かれた。

 ラパチニブ群(91人)、プラセボ群(21人)の検体が評価された。118人中26人(22%)がHER2陽性で26%がEGFR陽性だった。エストロゲン受容体陽性/プロゲステロン受容体陽性患者は70%、エストロゲン受容体陽性/プロゲステロン受容体陰性患者は13%、エストロゲン受容体陰性/プロゲステロン受容体陰性患者は17%だった。

 解析の結果、腫瘍増殖能の指標であるKi67の数値が、ラパチニブ投与群で診断時に比べて手術検体で有意に減少していた。HER2陽性患者で46%(p<0.01)と有意に減少しただけでなく、HER2陰性患者でも27%(p<0.05)と有意に減少していた。またラパチニブ投与群はHER2陽性群で17%と有意に(p<0.05)pERKの量が減少し、HER2陰性群で28%と減少傾向が認められた(p=0.06)。また、細胞分裂期後期の紡錘体の崩壊に関与しているstathminの量も、ラパチニブ投与群でHER2陽性患者(23%減少、p<0.05)、HER2陰性患者(24%減少、p<0.0001)とも有意に減少していた。プラセボ群には診断時と手術検体でKi67の数値に差はなかった。

 多変量解析の結果、HER2陽性患者ではKi67の減少と診断時pAKT高値が関連する傾向があった。HER2陰性患者では、Ki67の減少と診断時HER3mRNAの高発現、pERK低値が関連する傾向があった。