ホルモン受容体陽性乳癌で予後不良と関連する可能性がある複数の蛋白質の変化が明らかとなった。PI3K/mTOR情報伝達系に制御されている、これらの蛋白質の変化が起こると、リンパ節陽性乳癌の悪性度が高くなるという。患者の検体を解析した結果、示されたもの。3月31日から4月4日にシカゴで開催されている米国癌研究会議(AACR)で、米University of Texas MD Anderson Cancer CenterのFunda Meric-bernstam氏によって発表された。追加試験によって、見いだされたマーカーの意義が確実となれば、従来のホルモン療法だけでは不十分な患者や分子標的薬による追加治療を受けた方が良い患者を同定できる可能性があるとしている。

 研究グループは、ステージ1から3までのホルモン受容体陽性乳癌患者190人の腫瘍組織について、逆相プロテオームアレイにより、翻訳過程に関連する因子の遺伝子発現量、リン酸化量を調べ、さらに多変量解析を行った。その結果、年齢やリンパ節陽性に有意差はなく、生存期間に関連する因子が同定された。

 無再発生存に関する多変量解析で同定されたのは4E-BP1 (eukaryotic initiation factor 4-binding protein 1) S65、全生存に関する多量変解析ではリボソーム蛋白質S6 S235/236のリン酸化上昇、eEF2K(eukaryotic elongation factor-2 kinase)の発現増加、プログラム細胞死蛋白質4(PDCD4)の発現減少だった。これらはPI3K/mTOR情報伝達系に制御されている蛋白質の変化だった。

 p4E-BP1 S65が高い群(8人)の5年無再発生存率37.5%に対して低い群(180人)は88.7%だった(p<0.001)。pS6 S235/236のリン酸化が高い群(11人)の5年全生存率は52.6%に対して低い群(177人)は87.9%だった(p<0.001)。eEF2Kの発現が高い群(126人)の5年全生存率は79.0%、低い群(62人)は85.9%(p=0.0424)、PDCD4の発現が低い群(110人)の5年全生存率は74.2%、高い群(78人)が91.5%(p=0.0021)と、有意な差があった。