Activated B-like(ABC)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に、経口高度特異的可逆的ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤ibrutinib(PCI-32765)が有効である可能性が明らかとなった。予備的な臨床試験で有効性が認められた。成果は、3月31日から4月4日にシカゴで開催されている米国癌研究会議(AACR)で、米国立癌研究所(NCI)のLouis Staudt氏によって発表された。

 DLBCLはマイクロアレイによる遺伝子発現解析でABC DLBCLとGC B-like DLBCL(GCB DLBCL)に分けられることが明らかとなっている。R-CHOP療法で、3年無増悪生存率がGCB DLBCLは75%と良好なのに対して、ABC DLBCLは40%と予後が悪いことが知られている。

 ABC DLBCLでは、B細胞受容体からの情報が活性化されたままになっている。また、ABC DLBCLでは、チロシン残基を中心とするアミノ酸配列でチロシンリン酸化によって活性化されて活性化シグナルの伝達を担うITAM(Immunoreceptor Tyrosine-based Activation Motif)の、CD79AとCD79Bに変異が起きている頻度が他のリンパ腫に比べて高い。またアダプター蛋白質であるMyD88はTIRドメインにも変異がある場合があることが分かっている。ブルトン型チロシンキナーゼはB細胞受容体からの情報伝達経路の途中に存在する蛋白質である。

 ibrutinibの予備的な臨床試験は再発/難治性のDLBCL(ABCサブタイプ)患者10人を対象に行われた。サブタイプは免疫組織化学的染色法で決定し、遺伝子発現プロファイルで確認された。患者には毎日560咾ibrutinibが投与された。その結果、2人で完全寛解(CR、1人は16カ月時点でCRのまま、1人は4.5カ月目に再発)が得られ、1人で部分寛解(PR、1.5カ月目に増悪)が得られ、3人が病勢安定(SD)となった。

 現在、再発/難治性のDLBCL(ABCサブタイプとGCBサブタイプ)患者を対象に毎日560咾ibrutinibを投与するフェーズ2試験が行われている。予備的な試験の場合と同様、サブタイプは免疫組織化学的染色法で決定し、遺伝子発現プロファイルで確認されている。2012年3月1日時点で、47人(最終的に60人の予定)が登録されており、中にはCRが得られた患者が見られているという。

 また、今までの試験結果から、ibrutinibはCD79B、MyD88が変異型でも野生型でも効果があることが示されている。報告されているibrutinib関連の副作用は下痢(グレード1)、吐き気(グレード1)、倦怠感(グレード1と2)、時間依存性のB細胞数の減少だ。