スイスHoffmann-La Roche社は3月30日、トラスツズマブDM1T-DM1)が、HER2陽性の転移性乳癌患者を対象としたフェーズ3試験EMILIAで無増悪生存期間(PFS)を有意に延長できることが明らかとなったと発表した。

 T-DM1は、抗HER2モノクローナル抗体のトラスツズマブと微小管重合体阻害剤誘導体のDM1を結合させた抗体-薬剤複合体。

 国際ランダム化オープンラベル試験であるEMILIA試験は、T-DM1の初めてのランダム化フェーズ3試験。すでにトラスツズマブとタキサン系抗癌剤による治療の経験があるHER2陽性転移性乳癌患者991人を対象に、T-DM1を投与する群とラパチニブとカペシタビンを併用する群を比較した。T-DM1は3週おきに3.6 mg/kgが投与された。併用群はラパチニブを毎日1250mg、カペシタビンを3週間1サイクルとして1日目から14日目まで毎日2000 mg/m2投与された。

 主要評価項目の一つであるPFS(独立した審査委員会による判定)がT-DM1群で有意に延長できることが分かった。もう一つの主要評価項目である全生存期間(OS)の最終結果については未成熟だという。T-DM1の安全性プロファイルは過去にT-DM1に関して報告されたものと同様としている。データの詳細は今後開催される学会で発表される。

 Roche社は今回の結果を受けて、T-DM1のHER2陽性転移性乳癌を対象にした申請を欧州で2012年に行う計画だ。また、米Genentech社も米国で2012年に申請予定。

 T-DM1に関しては他に2件のフェーズ3試験が進められている。一つは、HER2陽性転移性乳癌に対するファーストラインとして、T-DM1のみ、T-DM1と pertuzumab併用、トラスツズマブとタキサン系抗癌剤の併用を比較するフェーズ3試験MARIANNE。もう一つは、トラスツズマブとラパチニブの両方の投与経験のあるHER2陽性転移性乳癌に対して、医師の選択治療とT-DM1を比較するTH3RESAだ。