日本人の閉経後ホルモン受容体陽性早期乳癌患者でも、アロマターゼ阻害剤(AI)で初期治療を受けると骨量の低下や骨折するリスクが高まることが明らかとなった。九州地区で行われた多施設臨床試験で明らかになったもの。3月21日から24日にオーストリアウィーンで開催された第8回European Breast Cancer Conference(EBCC)で、熊本市立熊本市民病院乳腺内分泌外科首席診療部長の西村令喜氏によって発表された。

 西村氏は「医師、患者ともに日本人でもAIによる骨への影響が起こることを認識すべき。少なくとも週1回30分以上のウォーキングなど中等度の運動をすることがリスクを低減させる」と語った。

 AI剤は長期に服用すると骨量の低下や骨折が増加することが海外で報告されており、遺伝的因子や食事、運動などのライフスタイルが骨密度を維持するためには鍵になると考えられている。しかし、欧米人と日本人ではライフスタイルが異なることから、欧米人でみられたことと同様の現象が起こるかを確認するために今回の試験が実施された。

 試験ではAI剤の投薬開始前と投与1年後の骨密度を測定した。また患者には、運動量、食事、喫煙、アルコール消費量などのアンケートに答えてもらった。また化学療法や放射線療法の有無も調べた。

 試験には208人が参加、年齢中央値は63歳(44-84)だった。AI剤はアナストロゾール使用が137人、レトロゾール使用が59人、エキセメスタンが12人だった。

 AI剤使用後1年で、全体で骨密度が3.4%減少した。骨粗鬆症は11人(5.3%)、骨折が5人(2.4%)に起きた。骨密度の減少は、少なくとも週に1回運動している人で−2.3%と、していない人(−4.4%)に比べて有意に少なかった(p=0.005)。一方、化学療法を受けた患者の骨密度は−5.3%、受けていない人は−2.3%で、有意に多く減少していた(p=0.001)。アルコール消費量、喫煙と骨密度減少には関係がなかった。