非ステロイド型アロマターゼ阻害剤(AI)に抵抗性となったエストロゲン受容体陽性、HER2陰性の局所進行性または転移を有する乳癌に、mTOR阻害剤のエベロリムスとステロイド型AIのエキセメスタンを併用投与すると、エキセメスタン単独投与に比べて最初の12週で骨代謝マーカーが減少することが分かった。エベロリムスには骨保護作用があることが示唆された。

 レトロゾールまたはアナストロゾール抵抗性、もしくは不応性の閉経後の進行乳癌患者に対し、mTOR阻害剤エベロリムスとステロイド型アロマターゼ阻害剤エキセメスタンの併用の効果を調べた大規模なフェーズ3試験、BOLERO-2のアップデート解析から明らかになったもの。

 成果は3月21日から24日にオーストリア・ウィーンで開催された第8回European Breast Cancer Conference(EBCC)で、オーストリアMedical University of ViennaのM.Grant氏によって発表された。

 乳癌におけるアロマターゼ阻害剤の投与、骨転移は骨吸収を高めることが知られている。エキセメスタンは非ステロイド型AIよりも骨密度低下が少ないと考えられているが、タモキシフェンと比べると骨形成マーカー、骨吸収マーカーが上昇し、骨代謝が活発化していることが示されている。また破骨細胞の生存に関してmTOR系が働いている可能性が指摘されている。

 BOLERO-2試験は、エストロゲン受容体陽性、HER2陰性の局所進行性または転移を有する乳癌で、レトロゾールやアナストロゾールに抵抗性もしくは不応性の閉経後の患者を対象にした二重盲検無作為化フェーズ3試験。

 試験には、24カ国の189施設から日本人を含む724人の患者が登録された。患者は、エベロリムス10mg/日とエキセメスタン25mg/日を併用する群(併用群)と、プラセボとエキセメスタンを投与する群(プラセボ群)に2:1になるよう割り付けられ、それぞれ485人と239人だった。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)で、骨代謝マーカーは、探索的評価項目として投薬開始から6週目と12週目に調べられた。破骨細胞代謝マーカーとして、骨特異的アルカリホスファターゼ(BSAP)、骨形成マーカーとしてI型プロコラーゲンN-プロペプチド(PINP)、骨吸収マーカーとしてI型コラーゲン架橋C-テロペプチド(CTX)が調べられた。

 今回のPFSの発表は、457イベントが確認され、観察期間中央値12カ月の段階で行われた。各施設の研究者による評価のPFS中央値は、併用群で7.4カ月、プラセボ群で3.2カ月(p<1×10-16)で、ハザード比は0.44(95%信頼区間:0.36-0.53)と、大きく併用群で優れていた。

 ベースラインでは併用群76%、プラセボ群77%に骨転移があり、ビスホスフォネートは併用群44%、プラセボ群54%で使用されていた。6週時点で、併用群の骨代謝マーカーはプラセボ群に比べてBSAPが26%、PINPが56%、CTXが36%減少していた。12週時点ではBSAPが22%、PINPが68%、CTXが41%減少しており、エベロリムスが骨代謝マーカーレベルを低下させていた。低下はベースラインでの骨転移のあるなしに関わらなかった。

 また、12週時点ではビスホスフォネート使用の有無に関わらず、プラセボ群では骨代謝マーカーが上昇し、併用群では減少していた。また骨における癌の進行が、併用群の方がプラセボ群よりも少なかった。ベースライン時点で骨転移があった患者でも同様だった。エベロリムスは骨転移の発生、進展を遅らせ、骨折など骨関連副作用も併用群の方が少なかった(骨折は併用群で2.1%、プラセボ群で3.4%に発生)。